ホンダの二輪事業の成長戦略、カギはインドと電動化:電動化(3/3 ページ)
二輪車市場は現状の5000万台規模から、2030年には電動車を含めて6000万台規模に成長すると予測されている。ホンダは競争力の高い商品を継続的に投入するとともに、電動化などカーボンニュートラルへの対応を進めながら、長期的に世界シェア5割を目指す。
インドではさまざまなニーズに合わせて商品ラインアップを拡充する。通勤や街乗りに使われる最量販スクーター「ACTIVA」、若者向けスクーター「Dio」、地方を中心に幅広い用途に対応するライトモーターサイクル「Shine」、高付加価値なライトモーターサイクル「SP」などがその例だ。販売ネットワークやサービスも充実させ、インドでのシェアトップに向けて販売台数を伸ばす。女性の社会進出を政府が後押ししており、スクーターを中心に女性ユーザーの拡大を見込む。
インド事業は生産工場の自動化、現地サプライヤーを積極的に開拓するなど強化して商品力や競争力を向上させる。インド国内だけでなくニーズの近い中南米にも輸出するなど、グローバルで商品を展開する。
大型車の需要が高い欧州では、「CB」「CBR」「Africa Twin」「Rebel」など好評なシリーズの魅力向上を継続する他、「HORNET」「TRANSALP」など歴史のあるブランドを復活させ、ラインアップを充実させる。ライディング体験を向上させるDCT(デュアルクラッチトランスミッション)や電子制御クラッチなどの技術も拡充している。こうした取り組みにより、イタリア、ドイツ、フランス、スペイン、英国の5カ国では2024年暦年でシェアトップを獲得したという。
今後は、二輪車としては「世界初」(ホンダ)となる電動過給機搭載のV型3気筒エンジンを新開発し、大型車に適用していく。
大型車は多品種少量生産だが、プラットフォームの共通化を進めて開発や調達、生産の効率を引き続き高めていく。2018年度の時点では二輪事業の収益がアジアに偏っていたが、2023年度には先進国や南米などでもバランスよく収益を上げられるようになってきたという。市場拡大が期待できる地域で台数とシェアを伸ばしながら、コスト競争力に磨きをかけていく考えだ。
生産拠点の環境負荷軽減も進む
企業活動の環境負荷低減では、熊本製作所に太陽光発電システムと蓄電池を導入し、発電能力9.3MW、蓄電容量20MWhを実現した。ブラジルのマナウス工場では、1000ha規模の森林保存区を保持し、森林のCO2吸収効果によるカーボンニュートラルへの貢献を目指す。また、バイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO」の適用を拡大するとともに、四輪車のバンパーリサイクル材を二輪車にも採用するなど、環境負荷を低減した持続可能な資源の活用に取り組んでいるという。
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