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ホンダの二輪事業の成長戦略、カギはインドと電動化電動化(2/3 ページ)

二輪車市場は現状の5000万台規模から、2030年には電動車を含めて6000万台規模に成長すると予測されている。ホンダは競争力の高い商品を継続的に投入するとともに、電動化などカーボンニュートラルへの対応を進めながら、長期的に世界シェア5割を目指す。

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 2028年にインドで稼働させる電動二輪車専用工場では、多くのモデルでモジュールを共通化し、組み合わせることでさまざまなモデルを生産する。新工場の立地はベンガルールが有力だとしている。定格出力4kW相当のコミューターから生産する計画だ。投資額は現時点では非開示。

 主要部品のバッテリーも、二輪車の特性に合った仕様の構築や安定調達に向けてバッテリーメーカーと協力して準備を進める。インドのガソリン代がかなり高いことも踏まえて、電動二輪車の3年間の総保有コストがエンジン車と同等になる価格帯を実現していく。生産面では、現地生産に加えて、モジュール化で組み立てラインを半分以下に短縮することによりコストを下げる。

 カーボンニュートラルの実現に向けて、バッテリーのリユースやリサイクルなどにも取り組む。インドでは、分散型電源やグリッド事業を展開するOMCパワーと協業し、使用済みのモバイルパワーパックをインドの電力不安定地域や非電化地区での給電装置として活用する。個人商店や学校の給電に役立てる。最終的には、貴金属などの素材のリサイクルを含めた、循環型バリューチェーンの構築も目指す。


リソースサーキュレーションの取り組み[クリックで拡大] 出所:ホンダ

 エンジン車の環境負荷低減にも継続的に取り組む。燃費改善によるCO2削減の他、ガソリンやエタノールなどの混合燃料(フレックスフューエル)に対応したモデルを、導入実績のあるブラジルから他の地域にも展開する。インドでも、フレックスフューエル対応の「CB300F」を投入するなど、地域のエネルギー事情に合わせて商品ラインアップとしていく。

地域別の戦略

 最大市場のインドを含む南西アジア、インドネシアやフィリピン、ブラジルをはじめとする中南米など「グローバルサウス」を中心に、人口増加や女性の社会進出、所得向上の後押しを受けてグローバルでの二輪車需要は今後も伸長が見込まれるという。ASEAN各国やパキスタン、バングラデシュも同様に需要が拡大する見通しだ。グローバルでの商品力や販売、サービス、調達、生産の強みを活用し、二輪事業を盤石にしていく。

 インドネシアはシェアが80%近く、商品やサービス網で市場をけん引してきた。フィリピンは5年前にはシェアは4割弱だったが、商品拡充や販売サービスネットワークの強化でシェアは55%まで増やした。まだ併売店での販売がメインであるため、販売やサービスのネットワークは今後も強化する。

 タイやベトナムなどASEANの成熟市場に向けては、排気量のステップアップに対応するとともに、ABSやスマートキー、コネクテッド機能、液晶メーターなど付加価値のある装備を設定してバリエーションを増やしていく。

 中国は、電動車とエンジン車の両方で現地企業が台頭。欧州向けのブランディングのためのレース活動にも力を入れている。ホンダとしてもコスト競争力を上げることが課題となる。コミューターは電動自転車程度の低出力なモビリティの人気もあって減少傾向だが、大型車はモーターサイクルショーでも関心が高く今後の市場の伸びが期待できるという。

 電動自転車は四輪車との混合交通の中での走行には不利だが、中国以外の地域でも市場が拡大する場合に備えて対応を検討している。


二輪市場と今後の見通し[クリックで拡大] 出所:ホンダ

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