ストップ! 外注丸投げ――CAE解析や冷却系の設計を自分でやれるようになろう:CAE解析とExcelを使いながら冷却系設計を自分でやってみる(1)(3/3 ページ)
CAE解析とExcelを使いながら冷却系の設計を“自分でやってみる/できるようになる”ことを目指す連載。連載第1回では、冷却系設計に関する題材をいくつか紹介し、本連載で取り上げるトピックスについて整理する。
本連載で取り上げるトピックス
本連載で取り上げるトピックスについて整理してみました。まず、熱伝導と熱伝達に関しては、表1の内容を取り上げる予定です。
No. | 内容 | CAE解析 | 紙と鉛筆による計算 |
---|---|---|---|
1 | 熱伝導と熱伝達 1次元問題 フーリエの法則、ニュートンによる近似 |
− | 〇 |
2 | ヒートシンクの熱解析 | 〇 | 〇 |
3 | 円筒座標系での熱伝導 | − | 〇 |
4 | 導体内の温度分布 | 〇 | 〇 |
5 | 電線に流せられる電流 | − | 〇 |
6 | 熱の移動/電荷の移動/地下水の移動 | 〇 | − |
7 | ふく射の説明 | − | 〇 |
8 | 2枚平板のふく射 | − | 〇 |
9 | 熱伝導/熱伝達/ふく射によるサーボモーターの考察 | − | 〇 |
10 | 時間変化する熱伝導の説明 ディリクレ(Dirichlet)境界条件 ノイマン(Neumann)境界条件 |
− | 〇 |
11 | フーリエ級数を使って棒の温度変化を求めよう | 〇 | 〇 |
表1 熱伝導と熱伝達に関する内容 |
熱伝達率の予測はCAE解析、紙と鉛筆ともに難しいです。CAE解析で熱伝達を計算する前に円管内流れの流体解析を説明しようと思います。表2のような内容を想定しています。
No. | 内容 | CAE解析 | 紙と鉛筆による計算 |
---|---|---|---|
1 | 熱伝達率の予測は難しい | − | 〇 |
2 | ニュートン流体と粘性係数 | 実験を行う | 〇 |
3 | 円管層流の速度分布 ハーゲン・ポアズイユ(Hagen-Poiseuille)式の導出 |
〇 | 〇 |
4 | 圧縮流体の圧力損失 | 実験値を使用 | 〇 |
5 | 円管乱流の速度分布 ダルシー・ワイスバッハ(Darcy-Weisbach)の式 |
〇 | 〇 |
6 | 乱流解析のセル分割の注意点 粘性低層と「y+」の説明 |
− | 実験を行う |
7 | カルマン渦を計算してみよう | 〇 | − |
表2 円管内流れの流体解析に関する内容 |
そして、いよいよ熱流体解析です。表3に示す内容で進めていきたいと思います。
No. | 内容 | CAE解析 | 紙と鉛筆による計算 |
---|---|---|---|
1 | 円管層流の熱伝達率 | 〇 | 〇 |
2 | ちょっと冒険、円管層流のヌセルト数を微分方程式を立てて求めてみよう | − | 〇 |
3 | 円管乱流の熱伝達率 | 〇 | 〇 |
4 | ホローコンダクターを使ったコイルの設計 | − | 〇 |
5 | 外部流れの自然対流熱伝達 | 〇 | 〇 |
6 | 外部流れの強制対流熱伝達 | 〇 | 〇 |
7 | ダクトの設計計算 | − | 〇 |
表3 熱流体解析に関する内容 |
さて、こんなに大風呂敷を広げてしまって大丈夫でしょうか……。それと、シミュレーションをなりわいとしている筆者が「ストップ! 外注丸投げ」などとほざいていてよいのでしょうか……。かなり心配ですが、始めていきましょう!! (次回へ続く)
Profile
高橋 良一(たかはし りょういち)
RTデザインラボ 代表
1961年生まれ。技術士(機械部門)、計算力学技術者 上級アナリスト、米MIT Francis Bitter Magnet Laboratory 元研究員。
構造・熱流体系のCAE専門家と機械設計者の両面を持つエンジニア。約40年間、大手電機メーカーにて医用画像診断装置(MRI装置)の電磁振動・騒音の解析、測定、低減設計、二次電池製造ラインの静音化、液晶パネル製造装置の設計、CTスキャナー用X線発生管の設計、超音波溶接機の振動解析と疲労寿命予測、超電導磁石の電磁振動に対する疲労強度評価、メカトロニクス機器の数値シミュレーションの実用化などに従事。現在RTデザインラボにて、受託CAE解析、設計者解析の導入コンサルティングを手掛けている。⇒ RTデザインラボ
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