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2025年は“芋づる式”品質不正に注意、「人を介さない」仕組みの道筋作りがカギMONOist 2025年展望(3/3 ページ)

2024年も長期にわたる品質不正の露見が続き、「日本品質」への信頼が揺らいでいる。特に最近は同様の品質問題が立て続けに見つかる“芋づる式品質不正”の露見が多く発生しており、2025年も品質不正の露見は続くことは明らかだ。製造業は、それを前提にどのような順番で“あるべき姿”に向け対策を進めるかが重要だ。

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品質保証のあるべき姿実現に向け、重要な優先順位とロードマップ

 品質不正の対策として、すぐに手を打つためには、これらの組織面や体制面での対策が重要になるが、将来的には「不正を生む余地」となる属人的なプロセスを排除していくことが理想となる。過去の新年展望でも、「検査工程の自動化」と「品質データ基盤の構築」などにより、検査データに改ざんの手を加えようがないようにする重要性を訴えてきた。

 特にAI(人工知能)が使いやすくなってきた今、外観検査など従来自動化が難しかった検査工程でも自動化を行いやすくなっている。こうした技術を取り入れることで、製造ライン内の検査データを自動で取得していけるようになる。

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米Rockwell Automationが年次イベント「Automation Fair 2024」で紹介したAIを活用した外観検査ソリューション「FactoryTalk Analytics VisionAI」。ノーコードでAIモデルを運用できる[クリックで拡大]

 将来的には、品質を保証する検査が全て自動化され、人手が介する余地をゼロにすることが望ましいことは明らかで、全ての製造業にとって「あるべき姿」だ。しかし、現実的には現在、製造活動を行っている全ての製造ラインの検査工程をすぐに自動化することは不可能だ。さらに、これらのデータを記録し必要な形で使えるようにする品質データ基盤についても、すぐに構築することは難しい。

 そのために必要になるのが、優先順位とロードマップだ。品質管理プロセスにおける問題点をあぶり出しつつ、製品や事業環境、規制や顧客条件などを照らし合わせ、重要度の高いものから、スケジュールを引きながら対応していくことが求められている。

 2025年も意識していなかった品質不正はどんどんあぶり出されてくるだろう。その中で、人的運用面で品質保証についての意識を高めて対策を進めつつ、品質検査の脱属人化を進めていくことが必要だ。2025年はこの両面での取り組みを、優先順位をつけて進めていくことが求められている。

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