舶用エンジンで検査不正続出、IHI、日立造船に続き、川崎重工でもデータを改ざん:品質不正問題
川崎重工業は、商船向け舶用2ストロークエンジンの工場試運転における検査不正が判明したと発表した
舶用エンジンの検査不正が相次いでいる。川崎重工業は2024年8月21日、商船向け舶用2ストロークエンジンの工場試運転における検査不正が判明したと発表した。
今回の不正発覚のきっかけとなったのが、2024年7月5日付で国土交通省から舶用エンジンを対象とした「NOx放出量確認試験における不正行為の有無などにかかわる実態調査」への要請だ。これは、日立造船の連結子会社である日立造船マリンエンジンとアイメックスにおいて、舶用エンジンの陸上運転記録に不正が発覚したことを受けてのものだ。
川崎重工業では、NOx一次規制以降の規制対象となるエンジン674台に対して社内調査を進めたが、その結果、NOx放出量確認試験を含む工場試運転において、商船向け舶洋2ストロークエンジン673台において検査不正が確認された。なお、商船向け舶用2ストロークエンジン以外では不正はなかったという。
具体的には、舶用エンジンの工場試運転時に燃料消費率を顧客先の仕様に基づく許容値に収めたり、各種データのばらつきを抑えたりするために、検査装置を操作し、データを書き換えていた。NOx放出量に影響を及ぼしている可能性もあるという。ただ、現時点では、川崎重工業製エンジンの試運転および実際の使用時において、安全性に影響する事案は確認されてはいないとしている。
川崎重工業では今後、国際海事機関が定めるNOx放出量規制への影響やCO2放出量規制への影響について調査を行う。さらに、外部有識者で構成する特別調査委員会を設置し、詳細な事実関係や原因の究明、再発防止策の検討を進める。
舶用エンジンでは、2024年4月にIHIで発覚して以降、同年7月に日立造船グループ、そして今回の川崎重工業と、検査不正が相次いでいる。
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