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無理解な経営陣の「短期開発」が生んだ、ダイハツ64車種の不正品質不正問題(1/3 ページ)

ダイハツ工業は同社が開発し、国内外で生産中の全ての車種の出荷を自主的に停止すると発表した。生産を終了したものを含め、64車種とエンジン3機種で型式認証の試験での不正行為が確認されたためだ。

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 ダイハツ工業は2023年12月20日、同社が開発し、国内外で生産中の全ての車種の出荷を自主的に停止すると発表した。生産を終了したものを含め、64車種とエンジン3機種で型式認証の試験での不正行為が確認されたためだ。国土交通省による監査と指導、基準適合性の確認を経て出荷を再開するが、具体的な時期については未定だ。

 出荷停止に伴い生産も止まるため、サプライヤーに発注済みの部品はダイハツ側で引き取る他、サプライヤーのダイハツ向け売り上げの依存度や企業規模を踏まえて1社ごとに補償を相談していくという。ダイハツの仕入先は国内で423社。ダイハツ向けの売り上げが10%以上を占めるのは47社で、さらにこのうち34社が中小企業だとしている。

 第三者委員会による調査の過程で、ダイハツは車両の安全性能や環境性能が法規を満たしているかどうか、社内で技術検証や実車試験を行ってきた。検証結果やプロセスの妥当性は、第三者認証機関のテュフ・ラインランド・ジャパンが確認した。

 その中で、「キャスト」(トヨタ向けは「ピクシスジョイ」)について、側面衝突試験で評価される「乗員救出性に関する安全性能(ドアロック解除)」が法規に適合していない可能性が判明した。衝突後に外からいずれかのドアを開けられることが要求されるが、全てのドアが閉まって開放できなくなる現象が発生したという。

 販売台数はキャストだけで累計25万台だ。キャスト/ピクシスジョイの全ての車両で同じ現象が起きるのか、技術検証を緊急で進めている。原因究明を急ぎ、対応方法を今後決める。技術検証の結果、他の車種も必要に応じて調べていくとしている。なお、現時点でこの現象に関連した事故情報は把握していないという。

 その他の車種についてダイハツ 社長 奥平総一郎氏は「社内の検証結果ではあるが、問題のある事象は発生していないので安心して乗り続けてもらいたい」とコメントした。

「今後もトヨタグループの一員」

 今後、国土交通省はダイハツに立ち入り検査を行い、不正行為の事実関係などを確認する。また、全ての現行生産モデルの基準適合性について、国土交通省と自動車技術総合機構で技術的に検証していく。これらの結果を踏まえて、道路運送車両法に基づいて厳正に対応するとしている。

 トヨタ自動車 副社長の中嶋裕樹氏は、ダイハツが今後もトヨタグループの一員であると述べた。「トヨタ自動車としても真摯に受け止め、反省している。その上でわれわれが目指さなければいけないのは、未来のモビリティーカンパニーとしてグループでよりよいクルマを作ること、町で、国で一番愛される企業になることだ。足りないところは補い合い、問題があれば立ち止まり、包み隠さず改善していくというのがトヨタとトヨタグループの考え方だ。子会社としての関係性を見直すことは考えていない」(中嶋氏)。ダイハツも、トヨタ自動車の支援を受けながら再発防止に取り組む。

 トヨタ自動車や日野自動車、いすゞ自動車、スズキ、ダイハツの共同出資会社Commercial Japan Partnership Technologies(CJPT)での軽商用車などの取り組みの遅れや、除名などの処分については、第三者委員会の調査報告を踏まえて今後検討し、発表する。

 ダイハツと同じく不正問題を起こした日野自動車は、トヨタ自動車が親会社ではなくなり、三菱ふそうトラック・バスと経営統合する。商用車特有の市場環境や、商用車と乗用車のビジネスの違いなども理由だが、トヨタ自動車 社長の佐藤恒治氏は「より良い日野をつくろうとしてきたが、商用車のビジネスについてトヨタが日野を支えていくことにも限界がある」と言及した。

 三菱ふそうトラック・バスと日野自動車は、今後新設される持ち株会社の完全子会社となり、持ち株会社はダイムラートラックとトヨタ自動車が株式を同割合で保有する予定だ。

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