ZOZOはなぜ計測技術の開発を弛まず続けているのか:組み込み開発 インタビュー(3/3 ページ)
身体の寸法を測る「ZOZOSUIT」や足のサイズを測る「ZOZOMAT」といった計測のデバイスやサービスの展開を弛まず続けているZOZO。ファッションECサイトで成功を収める同社はなぜ計測技術の開発に注力しているのか。ZOZO 計測プラットフォーム開発本部 本部長の山田貴康氏に話を聞いた。
「計測技術はあくまでお客さまを理解するための方法の一つ」
MONOist 大人向けのZOZOMATは片足ずつ計測するのに対し、ZOZOMAT for Kidsは両足を同時に計測します。これはなぜですか。
山田氏 ZOZOMAT for Kidsは4歳からの利用を想定しているのですが、これくらいの年齢の子供だと片足ずつ計測するということに付き合い続けてくれません。あと、大人用のZOZOMATでは、身長が低くて足が短い子どもにとって、マットのマーカーが印刷された部分をまたいだ状態で計測の間じっと我慢することになるのも課題でした。だからこそ子ども向けでは、両足を載せた状態で一括して短い時間で測れる必要があると考えました。
もう1つ重要な機能になるのが成長予測です。先ほどお話しした通り、子どもの足は半年でかなり大きくなります。そこで、今一番お勧めできる靴のサイズがこれで、このサイズであれば何月ごろまで履けます、そしてもう一回り大きいサイズであればいつごろからいつごろまで履けそうです、というような成長予測を商品ページ上に表示できるような仕掛けを用意しています。最適なサイズの靴をできるだけ長く履けるようにするとともに、無理に小さいサイズを履き続けることはないようにしたいと考えています。
子どもは、履き慣れた靴の方がいいなどと言うと、小さいサイズでも我慢して履き続けたりするんですよね。親も毎日の生活で忙しいと、子どもの足に靴のサイズが合ってないことに気付かなかったりする。そこでZOZOMAT for Kidsでは、子どもは成長して大きくなるという前提から、一定期間が経過したら子どもの足のサイズを再度計測しませんか? という提案を行うようになっています。こういった機能は、大人向けのZOZOMATにはないものですね。
MONOist 両足をマットに載せて計測することに、技術的な課題なかったのでしょうか。
山田氏 両足を計測するから難しくなるということはありませんでした。大人の足の場合、一方の足が陰になって計測できないということが起こり得るんですが、子ども向けのZOZOMAT for Kidsは6方向からスマートフォンのカメラで撮影することで十分カバーできています。対象年齢は男の子が4〜14歳、女の子が4〜12歳になっていて、推奨は4〜11歳です。これは男女で成長スピードが異なり、女の子の成長が12歳くらいで止まるからです。
MONOist 今後のZOZOの計測技術の展開についてどのように考えていますか。
山田氏 われわれが計測技術の開発に取り組んでいるのは。お客さまのことをより理解したいというところに起点があります。だからこそ体や足の寸法計測にとどまらず、いろんな形でお客さまを理解するための取り組みを進めていきたいと考えています。計測技術は、あくまでお客さまを理解するための方法の一つです。
ZOZOではパーソナルスタイリングサービスとして「似合うラボ」という取り組みに力を入れています。計測技術を突き詰めていくとレーザースキャナー並みの高精度な計測が必要になる場面があるかもしれませんが、似合うラボで取り組んでいる“似合う”という領域では、それほどの高精度を必要としないかもしれません。お手軽に測ってもらうことの方が価値があるのであれば、ZOZOMETRYのような計測のためのハードウェアを必要としない技術を活用できる可能性が出てくると思います。
また、われわれはECというサービスを提供していますが、医療やスポーツなど他の事業分野でもインターネットの向こう側にいるお客さまを理解したいというニーズがあるかもしれません。そこでわれわれの計測技術を活用できるのであれば、適宜対応していきたいと考えています。
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