3D計測用スーツを用いて、高精度かつ短時間でリンパ浮腫四肢を測定:医療機器ニュース
ZOZOとがん研究会 有明病院は、3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」とスマートフォンアプリを用いた四肢周径測定法について、リンパ浮腫の評価システムとして有用である可能性が示されたと発表した。
ZOZOは2024年1月25日、3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」とスマートフォンのアプリケーションを用いた四肢周径測定法について、リンパ浮腫の評価システムとして有用である可能性が示されたと発表した。がん研究会 有明病院との共同研究による成果だ。
同測定法では、3D計測用ボディースーツのZOZOSUITと検証用に開発したリンパ浮腫専用のアプリを用いる。評価システムの検証は、がん手術後の二次性リンパ浮腫患者を対象に実施した。
ZOZOSUITを着用した被験者は、1.5m離れた位置に設置したスマートフォンアプリの指示に従って30度ずつ向きを変えた写真を12枚撮影する。その画像をもとにアプリが体表の3Dモデルを自動的に生成し、リンパ浮腫診断で重要な測定点の周径測定値が抽出される仕組みだ。
手計測を用いた従来法と同測定法とで、周径測定値や計測時間を比較した結果、測定値の平均絶対誤差はおおむね20mm未満だった。測定時間は、従来法の235秒に対し、同測定法は86秒と有意に短かった(p<0.001)。精度も高く、同測定法の反復測定における全測定点の平均誤差は10mm未満だった。
リンパ浮腫は慢性進行性の疾患で、重症化を防ぐためには早期発見、早期介入が重要となる。しかし、リンパ浮腫を診察できる施設は患者数に比べて少なく、高精度で容易にリンパ浮腫を評価できるシステムが求められていた。
今後、同測定法を応用した、検査者がいなくても非侵襲的に自宅で繰り返しリンパ浮腫の治療効果などを判定できる診断ツールの開発につながることが期待される。
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