肌色を正確に、ネットでのコスメ選びにイノベーションを起こす「ZOZOGLASS」:イノベーションのレシピ
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは、新たに化粧品などを取り扱うコスメ専門モール「ZOZOCOSME」をZOZOTOWN内に開設したことを発表した。併せて、事前予約受付を開始していた肌色計測用メガネ「ZOZOGLASS」を用いたサービスも開始する。
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは2021年3月18日、新たに化粧品などを取り扱うコスメ専門モール「ZOZOCOSME」をZOZOTOWN内に開設したことを発表した。併せて、事前予約受付を開始していた肌色計測用メガネ「ZOZOGLASS」を用いたサービスも開始する。
同社は、ZOZOTOWNを通じてファッション好きのユーザーが満足するコンテンツやブランドを取りそろえていくことに注力する「MORE FASHION」、インターネットを通じてファッションアイテムを購入してもらうために必要な支援をテクノロジーで実現する「FASHION TECH」を経営戦略として掲げ、推進してきた。
FASHION TECHに関しては、膨大な数のアイテムを探しやすくするためのUI/UX開発だけでなく、自分の体形に合ったファッションアイテムを選びやすくするために開発された3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT/ZOZOSUIT 2」や、足の形状を高精度に3D計測して自分に合った靴選びを支援してくれる「ZOZOMAT」といったツールを開発し、それらを無料配布することで、ユーザーに新たな購買体験や価値提供をもたらしてきた。
肌の色を正確に診断し、自分に合ったコスメ選びを支援
今回発表のZOZOCOSMEとZOZOGLASSによるサービスは、同社がこれまで取り組んできた“MORE FASHION×FASHION TECH”の戦略に基づくもので、ファッションとの親和性が高いコスメ商材の取り扱いは、同社社内でも熱望する声が大きかったという。また実際に、ZOZOTOWNの女性アクティブユーザー533万人を対象に調査を実施したところ、普段SNSでチェックしているジャンルとして、第1位の「ファッション」に次いで、「美容系」が第2位となり、コスメ商材への関心の高さがうかがえたとする。こうした社内外からの声を受けて立ち上げたZOZOCOSMEでは、国内外の500以上の有名ブランドが参加(出店)しており、今後もその規模を拡大させていくとしている。
同社 取締役兼COOの伊藤正裕氏は「ファッションアイテムと同じで、コスメ商材を取り扱うのであれば、いかに買いづらいものを買いやすくするか、それを解決できるイノベーションが必要だと考え、ZOZOGLASSを開発した。ZOZOGLASSを装着して、ZOZOTOWNのスマートフォン用アプリでカメラ撮影することで、家にいながら自分の肌の色を正確に計測できる。これにより、自分の肌色に合ったコスメが購入しやすくなる」と話す。既にZOZOGLASSの申し込み件数は50万件を突破(2021年3月18日時点)しており、多くの期待の声が寄せられているという。
ZOZOGLASSを使った肌色の計測方法は次の通りだ。まず、ZOZOTOWNのスマートフォン用アプリを立ち上げ、[計測・その他]のメニューから[ZOZOGLASS 肌の色を測定する]を選択する。利用規約に同意し、性別と生年月日を入力して[決定]すると、計測準備のためのガイダンスが映像で表示され、[準備OK]で計測がスタートする。ちなみに、計測する際は化粧をしていない状態かつ顔に髪の毛が掛からないようにしておく必要がある。計測は、アプリ中央に表示される円形の枠内にZOZOGLASSを装着した自分の顔が入るようにして、色の付いた方向に顔の角度を順番に向けながらぐるりと一周させ、再度ZOZOGLASSを外した状態で同じ動作を行う。以上で計測が完了し、計測結果を取得できる。
ZOZOGLASSによる計測プロセスについて、伊藤氏は「最初にZOZOGLASSを掛けた状態で計測することでキャリブレーションを行っている。ぐるりと顔を撮影しながらZOZOGLASSのフレームに印刷されたカラーパターンの変化を読み取り、そこから環境光や環境色などを割り出しておき、(2回目の)ZOZOGLASSを外した状態での撮影結果からそうした環境要因を取り除くことで、本来の正しい肌の色を取得している」と説明する。
結果表示画面では、顔のパーツ別の肌色、計測結果から推定されたヘモグロビン量とメラニン量、総合的な肌の色、パーソナルカラーなどを確認できる。この計測結果は、ZOZOCOSME内でファンデーションを選ぶ際に活用され、自分の肌色にマッチした商品をレコメンドしてくれたり、ファンデーションの色を選ぶ際の基準として活用したりできる。なお、現状こうしたレコメンド機能はファンデーションのみの対応だが、今後はリップやチーク、マスカラなどにも展開する予定だという。
さらに、その先の展開として、計測結果とAR(拡張現実)技術を用いた「ARメイク機能」や自分の顔立ちにあったファッションアイテム選びを支援する「フェイスタイプ診断」などを実装する予定だとする。
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