その採寸精度はレーザースキャナーに匹敵する、「ZOZOMAT」発送開始:イノベーションのレシピ
ZOZOは足のサイズを無料で計測できるマット「ZOZOMAT」を発送開始した。ユーザーは測定結果を基にして、自分にぴったり合う靴を探すことができる。
アパレルECサイト「ZOZOTOWN」を展開するZOZOは2020年3月、2019年6月から無料配布の予約を受け付けていた、スマートフォンを使って足のサイズを計測できるマット「ZOZOMAT」の発送を開始した。ユーザーは足のサイズの測定結果をもとに、同社が2020年3月4日にZOZOTOWN内にオープンした靴専門モール「ZOZOSHOES(ゾゾシューズ)」の商品から自分と相性の良い靴を探すことができる。
現在ZOZOMATの注文数は累計71万件に達し、発送開始から5日間の計測数は8万4312件に上るという。
ZOZOMATの使い方は、まずマットの中心に足を乗せて、その周囲にあるドットマーカーをスマートフォンアプリでなぞるように撮影する。すると撮影後に処理が自動的に行われ、足長、足幅、足囲、かかと幅、足甲の高さがそれぞれmm単位で算出される。また測定結果の表示画面で「足型について詳しく見る」のボタンを押すと、指先の形の特徴や、平均的な日本人との各箇所のサイズ比較なども表示される。
ZOZO 取締役兼COOの伊藤正裕氏は「ZOZOMATの強みは手軽に、しかも高精度で足のサイズを計測できる点だ」と語る。通常、足のサイズを計測するには3Dレーザースキャナーを用いるが、これは500万〜600万円と高価な上、PCに接続して事前設定をする必要があり準備に手間がかかる。一方でZOZOMATはマットに足を乗せてスマートフォンで撮影するだけで計測が終わるため、手軽さという点では優位性がある。また伊藤氏は「ZOZOMATと3Dレーザースキャナーでそれぞれ3Dモデルを作成し、重ねあわせてみた。すると両モデルの平均誤差は1.4mmに収まった」と説明し、ZOZOMATが3Dレーザースキャナーに見劣りしない精度で計測できることを強調した。
ZOZOMATは単に足のサイズを算出するだけでなく「メッシュ化された足の3Dモデルを生成することで、ユーザーの足の形状を立体的に把握している」(伊藤氏)という。さらに、アプリ内では似た形状の足を持つユーザーを見つけて、そのユーザーが過去に購入した靴の情報も検索する。その結果をもとに、AI(人工知能)はZOZOSHOESで販売されている靴のラインアップから、ユーザーとの「相性度」が高い靴を統計的に判断しユーザーに購入を提案する。「足長が25.0の人にとって25.0のサイズの靴がベストな履き心地とは限らない。同じサイズでもメーカーや靴の形状で『相性度』は変動する。靴との相性は単純に足のサイズだけで決まるものではなく立体的に考えなければならない」(伊藤氏)。
また伊藤氏は「ZOZOTOWNのユーザーにECで靴を購入する際に不安を感じる点はないかと尋ねると、回答者の84%が『サイズに不安がある』という声を寄せた。試着ができないECならではの不安だと思う。今回のZOZOMATの開発はそうした不安の声を払拭するために取り組んだものだ。現在、ZOZOTOWNにおける靴の販売額は年間400億円くらいだが、将来的にはこれを1千億円規模にまで育てていきたい」と今後の事業展開に意欲を見せた。
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