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組みひもの飾り結びがウェアラブルセンサーに、その正体はポリ乳酸ウェアラブルEXPO

関西大学と帝人は、「第3回 ウェアラブルEXPO」において、ポリ乳酸(PLA)の繊維を編んだ「圧電組紐」をウェアラブルセンサーとして用いるデモンストレーションを披露した。

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 関西大学と帝人は、「第3回 ウェアラブルEXPO」(2017年1月18〜20日、東京ビッグサイト)において、ポリ乳酸(PLA)の繊維を編んだ「圧電組紐」をウェアラブルセンサーとして用いるデモンストレーションを披露した。

チョーカーのように装着している「圧電組紐」のウェアラブルセンサーで脈拍を検知できる
チョーカーのように装着している「圧電組紐」のウェアラブルセンサーで脈拍を検知できる(クリックで拡大)

 ポリ乳酸は生分解性を持つ樹脂として知られており、最近では3Dプリンタの材料としても広く利用されている。関西大学システム理工学部 学部長で電気電子情報工学科 教授の田實佳郎氏と帝人は、このポリ乳酸を繊維やフィルムにすることで圧電体として利用する技術を開発してきた。今回展示した圧電組紐はその最新の成果になる。

 圧電組紐は、ポリ乳酸の圧電繊維と導電繊維を使って組みひも技術で編みあげたものである。ひもを引っ張ったりやねじったりすると圧電繊維表面に電荷が発生し、導電繊維によって圧電信号を出力する。さらに、組みひもの伝統技術である飾り結びを施すと、その結んだ部分は圧電センサーとしてより高い性能を出すことができる。

「圧電組紐」の構造
「圧電組紐」の構造(クリックで拡大) 出典:帝人

 展示では、「吉祥結び」という飾り結びを数カ所施した圧電組紐を、女性用のチョーカーのように装着し、脈拍センサーとして利用するデモを披露した。吉祥結びの部分からは、10mgの力に対して10mVの電圧出力が得られる。この出力を、圧電組紐の先端に付けた小型のWi-Fiモジュールからスマートフォンに無線送信し、脈拍を画面に表示していた。「呼吸や飲み込みの動きとは大きく異なるので、脈拍の動きだけ抽出することは容易だ。手首に巻いても脈拍センサーとして使える。また、呼吸や飲み込みの動きを抽出すれば、高齢者の遠隔介護の用途にも応用できる」(田實氏)という。

「吉祥結び」を施した「圧電組紐」
「吉祥結び」を施した「圧電組紐」。赤丸で示した部分がWi-Fiモジュール(クリックで拡大)

 飾り結びは、「かごめ十五角結び」「梅結び」「亀結び」などに変えることで、センサー性能を変えられるとした。

巻き数約1000回「圧電ロール」
巻き数約1000回の「圧電ロール」(クリックで拡大)

 また両者が共同開発した「圧電ロール」も展示されていた。圧電ロールは、ポリ乳酸の圧電フィルムを数百〜1000回など巻いた部品である。一般的な圧電センサーは、荷重が掛った際の出力信号の応答性は高いものの、継続して荷重が掛っていても出力信号が持続しない。一方、圧電ロールは、高い応答性を維持しつつ、荷重が継続した際の出力信号の持続性を実現した。

 さらに荷重方向に直列に並べて使用するだけで、センサー性能がほぼ比例して増加するという特性も有している。

 展示では、圧電組紐を用いたゴルフウェアとマット下に設置した圧電ロールを用いたゴルフスイングコーチシステムも紹介していた。圧電組紐、圧電ロールとも、展示会などでの技術提案の段階で、実用化時期は未定である。

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