型式不正も、全固体電池の盛り上がりも、2024年の出来事です:モビリティ 年間ランキング2024(1/2 ページ)
年末ですね。1年間お疲れさまでした。年末恒例のランキングですが、2023年末に作ってからあっという間に2024年の分を書く時期になったような気がします。
年末ですね。1年間お疲れさまでした。年末恒例のランキングですが、2023年末に作ってからあっという間に2024年の分を書く時期になったような気がします。丸腰の状態では「1年あっという間だった」という印象ばかりが先行し、何があったのかをすぐに思い出すことはできません。新聞もテレビも2024年のことを振り返る特集を組んでいますが、振り返る時間を作るのは大事なことなのです。
このフォーラムについて振り返ると、1つ変化がありました。これまで自動車関係の記事は「オートモーティブフォーラム」に掲載してきましたが、2024年は「モビリティフォーラム」にリニューアルしました。船や鉄道、自転車など自動車以外のモビリティや、トラックや鉄道を使う物流の記事を地道に増やしています。
個人的な変化は、MT車を購入したことです。もちろん電動車ではありません。時代に逆行しているかもしれませんが、クルマを買い替えたことはいろいろなことに気付き、考えるきっかけになりました。
さて、本題です。2024年にモビリティフォーラムで公開された記事の閲覧数を基に、ランキングを作成しました。順位はこのようになりました。
MONOist モビリティフォーラム
人気記事ランキング TOP10
2024年1月1日〜12月23日
型式不正
1位と2位にランクインしたのは、型式指定申請での不正行為に関する記事でした。国土交通省はダイハツ工業などの不正事案を踏まえて、型式指定を取得する自動車メーカーなど85社に対して調査と報告を指示しており、その結果が5月末ごろから出そろっていきました。これにより、トヨタ自動車とダイハツ工業は長期間にわたって出荷停止や工場の操業停止の影響を受けました。
次世代電池
全固体電池やリン酸鉄リチウムイオン電池など、次世代電池の動向も注目を集めました。3位はタイトルにある通り、日産自動車の全固体電池の進捗をまとめた記事です。20位にも、ホンダがパイロットラインを公開したときの記事がランクインしています。
耐久性や歩留まりに課題があるとされてきた全固体電池ですが、自動車メーカー各社は着々と実用化に向けためどをつけつつあります。
5位にランクインしたリン酸鉄リチウムイオン電池の記事は、連載「今こそ知りたい電池のあれこれ」の第24回でした。こんな前置きからリン酸鉄リチウムの長所と短所を整理しています。
リチウムイオン電池における正極材料のトレンドは「コバルトフリー」と「使い分け」です。これは、コスト的な観点から希少金属であるコバルトを避ける流れが進むとともに、材料ベースで安価なオリビン鉄(LFP)系と、ニッケルやマンガンを主体にしたそれ以外の材料系に大きく二極化し、搭載製品の価格や性能に応じて選択する場面が出てくるという考え方です。
しかし、直近の実用化や市場投入の面で見ると、「使い分け」というよりも、中国系企業を筆頭に、LFP系材料であるリン酸鉄リチウムの採用事例が目立つようになってきています。リン酸鉄リチウムの採用については、高い安全性や低コストといったメリットが挙げられる一方、エネルギー密度の低さやリサイクル時の収益性に対する懸念などデメリットに関する面の話題を耳にすることもあるかもしれません。
この連載は化学系が専門でない方にこそ分かりやすい入門として執筆してもらっていますので、「実はちゃんと説明できないかも……」という方はぜひ読んでみてください。
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