デンソーがeVTOL向けモーターを披露、出力100kWで従来比6割減の軽量化を実現:人とくるまのテクノロジー展2024
デンソーは、「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」において、ドイツのリリウム(Lilium)が2026年を目標に開発を進めているeVTOL(電動垂直離着陸機)「Lilium Jet」に採用されたモーターを披露した。
デンソーは、「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」(2024年5月22〜24日、パシフィコ横浜)において、ドイツのリリウム(Lilium)が2026年を目標に開発を進めているeVTOL(電動垂直離着陸機)「Lilium Jet」に採用されたモーターを披露した。
今回展示したeVTOL向けモーターは、外形寸法が直径150×長さ60mmで、重さは4kg。回転数は1万rpm以上を実現しており、出力は100kWとなっている。モーターの形式はSPM(表面永久磁石モーター)であり、軽量材料の活用と冷却性能の向上で従来比60%減の軽量化を実現しているという。
ローターは、表面に永久磁石を組み込んでいるためコアレス化されており、高速回転時に課題となる永久磁石の固定については高強度かつ軽量の材料を採用することで対応している。ステーターは、高速回転時のコイルからの発熱に対応するため、高熱伝導樹脂を充てんすることで冷却性能を高めている。また、軽量化や冷却性能の向上を実現するのに必要な共同開発パートナーとして、住友ベークライトや信越化学、東レなどの名前を挙げている。
操縦士を含めて最大7人乗りとなるLilium Jetは、主翼とカナード翼にフラップ可能な形で組み込んだ総計30個のモーターを用いて離着陸と飛行を行う。翼によって発生する揚力と効力の比率である揚抗比はeVTOLの中でも最高レベルであり、翼厚の最大値と翼弦長の比率である翼厚比は垂直離着陸機として知られるオスプレイの半分であり、これにより、垂直離着陸の利便性とジェット機並みの飛行速度を兼ね備えることを可能とする。
なお、デンソーが提案するeVTOL向けモーターとしては、Lilium Jetに採用された回転数を重視するジェット推進型だけでなく、ドローンタイプのeVTOLで求められるトルク重視のプロペラ推進型も用意している。2年前の「人とくるまのテクノロジー展 2022 YOKOHAMA」では、このプロペラ推進型としてアキシャルギャップ型ダブルローター方式を採用した電動推進ユニット向けのモーターを展示していた。
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