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大林組が建機に使い始めた「リニューアブルディーゼル」とは?脱炭素(2/2 ページ)

出光興産と大林組、松林はCO2削減効果の高いバイオ燃料「出光リニューアブルディーゼル」を使う実証実験を開始した。出光興産としては初めてリニューアブルディーゼルを取り扱う。

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カーボンニュートラル燃料の活用は「まだ最初の一歩」

 大林組は建設中のCO2排出削減に向けて、低炭素排出の燃料の使用を推進している。大阪・関西万博の建設工事では、100%バイオディーゼルやリニューアブルディーゼルを使用し、顕著な不具合がないことを確認した。

 また、今回の実証実験と並行して、100%バイオディーゼルを使用している建設機械に出光興産製の100%バイオディーゼル専用エンジンオイルを使用し、エンジンの影響度を調査する。低炭素排出の燃料を使用した建設機械のメンテナンスやモニタリング方法も検証する。

 大林組としても、建設機械でのカーボンニュートラル燃料の使用は「まだ最初の一歩を踏み出した段階。まずは、実際に使っている建機で出光リニューアブルディーゼルの使用実績を作ろうというところだ」(大林組 環境経営統括室 推進部長の山本巌氏)。

 リニューアブルディーゼルの活用が広がるには、建設機械など車両メーカーの推奨が重要だという。「車両メーカーにヒアリングしたところ、液体燃料は大型車両において重要だと聞いている。リチウムイオン電池や燃料電池を使うアプローチもあるが、低炭素/脱炭素な製造方法のエネルギーかどうかという課題が残る。長期的に、2050年時点においても液体燃料は一部で必要だと見込んでいる」(出光興産 販売部企画課 担当マネジャーの西原裕氏)

SAFの副産物としてのリニューアブルディーゼル

 実証実験ではリニューアブルディーゼルを海外から調達するが、今後の普及に向けて国内生産も検討している。出光興産の徳山事業所(山口県周南市)では2028年度からSAF(持続可能な航空燃料)の生産を開始する計画で、SAFの製造過程でリニューアブルディーゼルも産出される。将来的には自社製のリニューアブルディーゼルを流通させる可能性もある。また、実証に使用する出光リニューアブルディーゼルは2025年初めから新商品として発売する。

 2028年度から生産するSAFはHEFA(Hydroprocessed Esters and Fatty Acids)技術を採用する。植物油などを水素化処理して得られるエステルや脂肪酸からSAFを製造するプロセスだ。リニューアブルディーゼルだけでなくバイオナフサも副産物として生産される。SAFは25万キロリットルの生産を計画している。

 出光興産は、リニューアブルディーゼルの需要拡大に向けて、エンジンや車両など軽油を使う機器のメーカー、業界団体などの要望を踏まえたスペックや品質への対応に取り組む。また、日本国内で整備された規格にも対応していく。ただ、需要が不透明であることから小規模な供給から開始し、徐々にサプライチェーンの規模を拡大したい考えだ。

カーボンニュートラルトランスフォーメーションの推進

 出光興産は、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、自社の操業にかかわるCO2排出量(スコープ1+2)をネットゼロとするとともに、燃料の使用に関わるサプライチェーン全体での排出量(スコープ3)もカーボンニュートラルを目指す。

 省エネや燃料の転換、製油所や事業所の“CNXセンター化”などで排出を削減し、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage、CO2の回収と貯留)や森林吸収などによって残りのCO2を除去することでカーボンニュートラルを達成する。

 CNXセンターのCNXはカーボンニュートラルトランスフォーメーションを意味する。各地の特色や需要に応じてカーボンニュートラル燃料の製造や水素/アンモニアのサプライチェーン構築に取り組む。2030年までにモデルケースを構築し、実証を進める。

 例えば、北海道地区では豊富な再生可能エネルギーと寒冷地の液体燃料需要を踏まえて、再エネを活用した水素製造やCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage、分離/貯留したCO2の利用)によるCO2の資源化、合成燃料の製造を行う。

 化石燃料からカーボンニュートラル燃料への移行は、バイオ燃料が先行しているが、バイオ燃料の原料が限られることから2030年以降は合成燃料で需要をカバーする。

各地区のCNXセンター化
北海道
地区
北海道製油所 豊富な再生可能エネルギーと寒冷地における液体燃料需要 再エネを活用した水素製造、
CCUSによるCO2の資源化、
合成燃料の製造
関東地区 千葉事業所、
京浜製油所
化学工場のコンビナート、発電所や製鉄所における水素需要 水素サプライチェーンの構築、
SAFやバイオディーゼル、バイオ化学品の製造、
使用済みプラスチックのリサイクル
中部地区 愛知事業所、
四日市製油所
コンビナートや発電所、製鉄所における水素需要 水素サプライチェーンの構築、
SAFやバイオディーゼル、バイオ化学品の製造
中国地区 徳山事業所、
四日市製油所
コンビナート、発電所における化石燃料代替のアンモニア需要 アンモニアサプライチェーンの構築、
SAFやバイオディーゼル、バイオ化学品の製造、
国産材を活用したバイオマス

カーボンニュートラル燃料の普及見通し[クリックで拡大] 出所:出光興産

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