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水素を基幹エネルギーの1つに、JR東の高輪ゲートウェイの街づくり脱炭素(1/2 ページ)

JR東日本とえきまちエナジークリエイト、ジェイアール東日本物流は高輪ゲートウェイ駅周辺の都市開発プロジェクト「TAKANAWA GATEWAY CITY」で再生可能エネルギー活用に取り組む。

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 JR東日本とえきまちエナジークリエイト、ジェイアール東日本物流は2024年7月30日、高輪ゲートウェイ駅周辺の都市開発プロジェクト「TAKANAWA GATEWAY CITY」(以下高輪ゲートウェイシティー)における再生可能エネルギー活用の取り組みを発表した。

 高輪ゲートウェイシティーは区域の面積が9.5ヘクタール(9万5000m2)で、4つの高層ビルと1つの低層ビルで構成される。オフィスだけでなく、住居、商業施設、ホテル、大規模会議施設、文化交流拠点などが整備される。区域全体で水素やバイオガス、風力発電や太陽光発電を活用し、CO2排出量を実質ゼロにすることを目指す。

 高輪ゲートウェイシティーは2025年3月に“まちびらき”を迎える。まずは、オフィスやホテル、コンベンションセンター、商業施設などが入居する、高輪ゲートウェイ駅前のツインタワービル「THE LINKPILLAR 1」が開業。泉岳寺駅に隣接する複合ビル「THE LINKPILLAR 2」、文化交流拠点の「文化創造棟(仮)」、高級住宅「TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE」も2025年度内に開業を予定している。


高輪ゲートウェイシティーの5つのビルを結ぶエネルギーインフラ[クリックで拡大]

国内最大級の蓄熱槽や東日本初のビルイン型バイオガス設備

 CO2排出量実質ゼロの実現に向けて、「国内最大級」(JR東日本)の蓄熱槽を導入し、高輪ゲートウェイシティーの区域内のビルで冷暖房に使用する。2万トン(50mプールでおよそ8杯分)の水を蓄え、夏であればビル内に冷水を行き渡らせて空気を冷やすなど、電力使用のピークカットに充てる。蓄熱槽の水は災害時のトイレや消防など非常用水としても活用する。ビル内はゾーンごとに細分化して空調設備を制御する「デマンドレスポンス・ゾーン別空調管理システム」により、最適なエネルギー利用と快適性を両立する。


国内最大級の蓄熱槽を冷暖房に活用する[クリックで拡大]

 水素活用も高輪ゲートウェイシティーのCO2排出削減に貢献する。周辺の移動や区域内の物流などさまざまな場面で水素を活用する。また、2025年3月には高輪ゲートウェイ駅に燃料電池システムを設置する。再生可能エネルギー由来の水素を活用した次世代モビリティによる快適な移動体験を提供するとしている。将来的には、水素由来の電気や熱エネルギーを区域内に供給するなど水素を基幹エネルギーの1つにすることを目指す。

 高輪ゲートウェイシティー内に飲食店などが多数入居することを踏まえ、ビルイン型バイオガス設備も導入する。食品廃棄物を資源として再利用し、サーキュラーエコノミーにつなげる。発酵させてガス化することで食品廃棄物は7割の減量ができると見込む。生成されたガスは燃料としてビル内のバイオガスボイラーに使用し、ホテルの給湯に必要な熱の10%をまかなう。この他にも、区域内で排出されたCO2を回収して有効活用することも検討している。

 ビルイン型のバイオガス設備は関西で導入例があるが、東日本では初めてだという。食品廃棄物を扱うバイオガス生成をビル内で行う場合、臭気や排水などでより高度な対策が求められる。


水素を燃料電池やモビリティに活用し、区域内の基幹エネルギーにしていくことを目指す[クリックで拡大]

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