鉄道に次世代バイオディーゼル燃料、JR西日本が営業車両で長期テスト:脱炭素
JR西日本は燃料に次世代バイオディーゼル燃料を100%使用した鉄道車両の走行試験を実施する。営業車両を次世代バイオディーゼル燃料100%で走らせるのは「国内初」だとしている。
国土交通省は2024年8月23日、燃料に次世代バイオディーゼル燃料を100%使用した鉄道車両の走行試験を実施すると発表した。営業車両を次世代バイオディーゼル燃料100%で走らせるのは「国内初」(国交省)だとしている。
走行試験の実施主体はJR西日本で、岩徳線(岩国〜櫛ケ浜駅間、山口県)と山陽本線(櫛ケ浜〜徳山駅間、山口県)の一部の営業車両を使用する。次世代バイオディーゼル燃料で走行する車両には、専用のシールが貼り付けられる。
実施期間は2024年9月3日〜2025年1月31日を予定している。使用する燃料はフィンランドのネステ(Neste)が製造する「Neste MY Renewable Diesel」だ。伊藤忠エネクスが輸入し、JR西日本に供給する。
ネステの次世代バイオディーゼル燃料は、食料と競合しない廃食油や廃動植物油などを原料として製造され、温室効果ガス(GHG)の排出削減に貢献するとしている。また、既存の設備をそのまま活用できるドロップイン燃料であるため、既存の車両や給油関連施設をそのまま利用できるという。
JR西日本は保有するディーゼル車両の燃料を次世代バイオディーゼル燃料に全て置き換えることを目指し、2025年度以降の本格導入を計画している。
JR西日本グループでは2021年に環境長期目標を策定し、2050年にグループ全体のCO2排出量を実質ゼロにすることを目指す。ディーゼル車両の燃料を次世代バイオディーゼル燃料に切り替えることはその一環だ。2022年度はエンジン性能試験を、2023年度は試運転での走行試験を行い、営業列車による長期走行試験に取り組む。
今回の実証実験は、国土交通省が公募した「鉄道技術開発・普及促進制度 令和4年度新規技術開発課題」(鉄道車両におけるバイオディーゼル燃料の導入に向けた技術開発)として、鉄道総合技術研究所とJR7社でJR西日本エリアを中心に実施している。
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