国産アンモニア燃料エンジンの試験運転を完了、初号機製造へ:脱炭素
ジャパンエンジンコーポレーションは、大型低速2ストロークエンジンとして世界初となるアンモニア混焼運転を2023年5月に開始し、各種試験運転を続けてきたが、本年9月末をもって同試験を完了した。
ジャパンエンジンコーポレーション(J−ENG)は2024年11月5日、大型低速2ストロークエンジンとして「世界初」(同社)となるアンモニア混焼運転を2023年5月に開始し、各種試験運転を続けてきたが、本年9月末をもって同試験を完了したと発表した。同試験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/次世代船舶の開発」プロジェクトの一環として進めている。
同試験により、高いアンモニア混焼率でエンジンの安定運転を達成した。また、燃焼を制御することにより、温暖化係数の高い亜酸化窒素(N2O)の発生も極めて低い水準に抑えられることを確認し、温室効果ガス(GHG)の排出低減に大きく寄与する技術を開発できた。アンモニア燃料供給設備など関連装置の機能と安全性、メンテナンス性、アンモニアと重油の燃料切り替えシーケンスなどの検証も終えており、毒性を持つアンモニアの安全な取り扱い方法に関して多くの知見を得た。
現在、これらの成果を基に2025年4月試運転開始、9月完工のスケジュールで、アンモニア燃料フルスケールエンジン初号機(実際の船舶に搭載するエンジン)の製造を進めている。また、J−ENG工場内にアンモニア供給設備を置き、当局の設備認可も取得。既にアンモニアの張り込みと工場内のアンモニア循環運転を終えており、アンモニア燃料フルスケールエンジンの運転に向けた関連設備の準備も進めている。J−ENGは、さまざまなアンモニア燃料船に適用できるように、今回の初号機(シリンダ直径50cm)に引き続き、平行してシリンダ直径60cmのアンモニア燃料エンジンの開発も進めている。
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