村田製作所は中期方針2027で再び売上高2兆円に挑む、AI需要でさらなる上振れも:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
村田製作所が2025〜2027年度の中期経営計画「中期方針2027」を発表。「中期方針2024」の目標である売上高2兆円、営業利益率20%などの目標が未達となることが確実な中で、あらためて売上高2兆円、営業利益率18%以上を目標に据えて、AIがドライブするエレクトロニクスの飛躍的な成長を捉えていく方針である。
コンデンサーをはじめグローバルNo.1のポジションを目指す
基盤領域では、コンデンサー、インダクター/EMIフィルター、機能デバイス/高周波・通信、エナジー/パワーの各製品でグローバルNo.1のポジションを目指す。コンデンサーのシェアは2024年度の40%から2030年度に43%に、インダクター/EMIフィルターのシェアも2024年度の23%から2030年度に28%に向上しシェアトップを確立する。機能デバイス/高周波・通信とエナジー/パワーは、市場全体でトップシェアではないものの、技術的に優位性のある分野に特化して売上高を大幅に高めていく構えだ。
圧倒的トップシェアを握るコンデンサーでは、注力するエッジデバイス、モビリティ、ITインフラの各アプリケーションで搭載数が伸びていくトレンドに対応し、生産能力も高めていく方針である。特に、2024年度に前年比5倍、2030年度に向けて年平均18%で成長するAIサーバ向けコンデンサーに対して、小型大容量化に対応する技術力で強みを出していく。
インダクター/EMIフィルターは、これまで高い評価を得てきた信号処理回路向けに加えて、電源回路向けでの採用拡大を目指す。xEVが伸びるモビリティ、消費電力の低減が強く求められるAIデータセンターを中心としたITインフラで大きな需要機会があるとする。
高周波・通信では、2022年3月に買収した米国Resonantの技術「XBAR」を3GHz以上の帯域を用いるWi-Fi 6E/7などに向けて展開する。XBARの高減衰、高選択性という特性により従来技術で2個必要だったフィルターを1個に削減できることが強みになる。
機能デバイスでは、2030年に向けて成長著しいレベル2+以上の自動運転車市場に求められる高精度の6自由度MEMS慣性力センサーの展開に注力する。
エナジー/パワーでは、AIサーバに組み込むAIアクセラレータの電力効率向上に貢献するプライマリー電源やセカンダリー電源を投入する。
村田製作所では、コンデンサーやインダクター/EMIフィルターなど標準品として販売する製品を1層目、機能デバイス/高周波・通信やエナジー/パワーなど用途特化型で展開する製品を2層目、そして1層目や2層目に当てはまらない新規事業を3層目に位置付けている。中期方針2027では、これまで確実に増えてきた3層目の好事例をスケール化していく段階に入る。2030年度に向けてスケールをさらに拡大することで、売上高1000億円を目指すとしている。
なお、中期方針2027のキャピタルアロケーションとしては、3年累計の営業キャッシュフロー1兆3000億円に対し、設備投資6800億円、M&Aや環境投資、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたITインフラ投資から成る戦略投資2200億円、株主還元4000億円とした。
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