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負の相互インダクタンスを活用してノイズを除去するLキャンセルトランス:組み込み開発ニュース
村田製作所は、負の相互インダクタンスを活用したLキャンセルトランス「LXLC21」シリーズを発表した。数M〜1GHzの高調波領域で電源ノイズ対策が可能となり、電子機器の小型化と高機能化に対応する。
村田製作所は2024年5月14日、負の相互インダクタンスを活用したLキャンセルトランス「LXLC21」シリーズを発表した。数M〜1GHzの高調波領域で電源ノイズ対策が可能となり、電子機器の小型化と高機能化に対応する。既に量産中で、サンプルも提供する。
同製品は、トランス技術を活用して負の相互インダクタンスを生み出し、ノイズ対策用コンデンサーや電源線とグランドの間の配線に寄生するインダクタンス成分を相殺する。非磁性体のため、直流電流を加えた際にインダクタンス値が減少する直流重畳特性がなく、電流変化に対して安定したノイズ除去が可能だ。
サイズは2.0×1.25×0.95mmで、負のインダクタンスは0.9nH。定格電流は3.0A、直流抵抗(DCR)は55mΩとなる。−55〜+125℃の温度範囲で使用でき、受動部品向けの標準規格AEC-Q200に準拠する。
電源回路に同製品を1つ組み込むだけで、従来よりコンデンサー数を抑えてノイズを低減できるため、システム全体の省スペース化と信頼性向上に寄与する。基地局やFAシステムなどの産業機器、インフォテインメントなどの車載機器、デジタル家電などの民生機器、医療機器での利用を見込む。
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