バイタル情報を無線でリアルタイム送信できる柔軟なセンサーパッチを開発:医療機器ニュース
北海道大学は、心電図、呼吸、皮膚の温湿度を常時連続計測できる、ばんそうこうのように柔らかい無線型のフレキシブルマルチモーダルセンサーパッチを開発した。
北海道大学は2024年10月31日、心電図、呼吸、皮膚の温湿度を常時連続計測できる、ばんそうこうのように柔らかい無線型のフレキシブルマルチモーダルセンサーパッチを開発したと発表した。東京大学らとの共同研究による成果だ。
同パッチが取得したバイタル情報は、解析用の新規アルゴリズムを搭載したスマートフォンに無線通信でリアルタイム送信できる。エッジAI(人工知能)型のセンサーパッチとなっており、インターネットへの接続なしで解析結果を常時表示できる。
研究ではまず、ばんそうこうのように皮膚に密着し、皮膚表面から複数のバイタル情報を取得可能なセンサーパッチを開発した。柔らかいポリエステルフィルム上にバイタル情報を常時安定計測できるセンサーを集積している。なお、長時間の装着による蒸れや皮膚のかぶれを防止するため、ポリエステルフィルムには無数の小さな穴を形成している。
このセンサーパッチの出力を、Bluetoothを用いて無線通信するための無線回路を開発した。人の動きや姿勢も計測できるように、加速度センサーも搭載する。また、胸に貼っても違和感がないように、電源に小型リチウムイオン電池を使用し、大きさを3cm角程度まで小型化した。
バイタル情報をリアルタイムに解析するアルゴリズムは、機械学習の1種であるリザバーコンピューティングを用いて新たに開発した。これにより、心電図計測中の咳や不整脈、体の動きなどのノイズを判別できる。
また、PC上での解析のほか、リザバーコンピューティングの解析アルゴリズムをスマートフォンのアプリケーションに搭載することにより、スマートフォンでもインターネット接続なしで、バイタル情報のデータ解析や解析結果をPCと遜色なく表示できた。
研究グループは現在、同センサーパッチを用いた未病の早期発見や遠隔診断などの応用展開を目指し、さまざまな疾患に対するバイタルデータの取得や解析を実施する実証実験を開始している。
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