HT高含有エキスが酸化による頭皮のかゆみを抑制することを解明:医療技術ニュース
第一三共ヘルスケアは、頭皮の皮脂が酸化して生じる過酸化脂質が、頭皮のかゆみを起こす一因となることを明らかにした。かゆみが起こるメカニズムを解明し、ハマメリタンニン高含有エキスによるかゆみの抑制を実証した。
第一三共ヘルスケアは2024年10月18日、頭皮の皮脂が酸化して生じる過酸化脂質が、頭皮のかゆみを起こす一因となることを発表した。かゆみが起こるメカニズムを解明し、東亜化成と共同開発したハマメリタンニン(HT)高含有ハマメリスエキスによるかゆみの抑制効果を実証した。
かゆみは、神経線維のC線維が活性化することで生じる。この現象は、神経成長因子(NGF)の増加と、神経反発因子セマフォリン3A(Sema3A)の減少に起因する。同社は今回、過酸化脂質がこの2つの因子に与える影響と、HT高含有エキスによる頭皮のかゆみ予防、改善効果を検証した。
実験では、過酸化脂質としてオレイン酸過酸化物を添加した表皮角化細胞と3次元表皮モデルを使用し、Sema3Aの遺伝子発現量とタンパク質量の減少を確認した。HT高含有エキスを添加した表皮角化細胞と3次元表皮モデルでは、オレイン酸過酸化物の添加後もSema3Aの遺伝子発現量とタンパク質量の減少を抑制された。
また、HT高含有エキスとHTをそれぞれ添加した表皮角化細胞について、24時間後のグルタチオン(GSH)量を解析したところ、GSH量が増加していた。GSHは細胞内抗酸化システムの活性指標であることから、HT高含有エキスにより細胞内抗酸化システムが活性化し、Sema3Aの発現量減少を抑制したと考えられる。
同社は今後、HT高含有エキスを応用した頭皮ケア製品の開発を進める考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- アミロイドβの悪玉化機構を解明、アルツハイマー病の新規創薬へ
理化学研究所らは、アルツハイマー病患者の脳内において、アミロイドβが、分解されにくい悪玉アミロイドβへと変化する仕組みを解明した。アルツハイマー病の予防や治療に関する新しい薬剤の開発が期待される。 - 最新のロングリード技術によりアセロラの全ゲノムを解析
かずさDNA研究所、ニチレイフーズ、鹿児島大学は、最新のDNA分析技術を活用してアセロラの全ゲノムを解読し、アセロラの60系統が3つのグループに分類できることを明らかにした。 - 無線LANアクセスポイント3製品と見守りセンサーとの接続検証を実施
アライドテレシスは、積水化学工業が提供する病院、介護施設向け見守りセンサー「ANSIEL」と、アライドテレシスの無線LANアクセスポイント3製品との接続検証を実施し、安定した接続と運用の実用性を確認した。 - アステラスのAI創薬は人とロボットとの連携で花開く、7カ月で新薬を創出
アステラス製薬 専務担当役員 研究担当 CScOの志鷹義嗣氏は、2019年から進めてきたAI創薬の取り組みについての合同取材に応じた。AI創薬の大きな成果として、STING阻害剤として有効な「ASP5502」を創出するとともに、その最適化研究の期間を従来比で3分の1以下となる7カ月で完了することに成功したという。 - サイバー攻撃に狙われる医療機関、統合型のセキュリティアプローチが特効薬に
医療機関に対するサイバー攻撃の脅威が増大する一方で、セキュリティ対策がなかなか進まない状況にある。格好の標的となっている医療機関をサイバー攻撃から守るにはどうすればいいのだろうか。 - 国内の医療情報システム市場に関する調査、クラウド型電子カルテが増加
矢野経済研究所は、国内の医療情報システム市場の調査結果を発表した。2023年度の医療情報システム市場規模は前年度比3.2%増の2974億円で、2024年度は同1.0%増の3002億円と予測している。