国内の医療情報システム市場に関する調査、クラウド型電子カルテが増加:医療機器ニュース
矢野経済研究所は、国内の医療情報システム市場の調査結果を発表した。2023年度の医療情報システム市場規模は前年度比3.2%増の2974億円で、2024年度は同1.0%増の3002億円と予測している。
矢野経済研究所は2024年10月15日、国内の医療情報システム市場の調査結果を発表した。国内の医療情報システムベンダーを対象に、2024年5〜9月にかけて実施したもので、分野別の市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにしている。
2023年度の医療情報システム市場規模は、前年度比3.2%増の2974億円。2024年度については前年度比1.0%増の3002億円と予測し、その後は前年度比1.0%未満の増加で推移すると見ている。
2010年に診療録の外部保存が解禁されたことで、電子カルテシステムではオンプレミス型に加えて、クラウド型の普及が進んでいる。
クラウド型電子カルテシステムを主に利用すると想定されるのは、一般診療所と中小規模の一般病院だ。新規開業の一般診療所ではクラウド型電子カルテの採用率が急速に拡大し、2022〜2023年に開業した一般診療所の70.8%がクラウド型を採用している。また、既に開業している一般診療所でも、クラウド型の採用が拡大中だ。
中小規模病院では、医師や看護師などの人材確保の観点から電子カルテ化のニーズが高い。クラウド型電子カルテは、初期費用や人の負担が抑えられるため、採用する施設が増えている。
同社は、2023年度の中小規模一般病院向け電子カルテ市場規模を、652億4900万円と推計し、2026年度には706億3700万円になると見込む。そのうちクラウド型の割合は今後も増加し、2023年度が12.0%、2026年度は16.8%になると予測する。
電子カルテの普及に伴い、周辺サービスも増加している。音声や測定機器から自動送信で入力するサービス、生成AI(人工知能)で文書作成を補助するサービスなどが普及しており、病院の業務効率化やミス防止につながることが期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 受動喫煙が片頭痛の誘発因子であることを示唆
慶應義塾大学は、タバコの煙に暴露した雌マウスは暴露していない雌マウスに比べて片頭痛の感受性が有意に高まることを明らかにした。受動喫煙が片頭痛の誘発因子の一つである可能性を示唆する結果だ。 - アルツハイマー病やALSの原因物質などを超高感度に検出する技術を開発
岐阜大学は、新たに発見した界面活性剤「Brij-58」を活用し、神経変性疾患の発症に関わるTDP-43およびアミロイドβ凝集体の超高感度検出技術を開発した。脳組織に蓄積した病的凝集体の検出が可能だ。 - 点滴ラインの絡まりを防ぎ簡単に長さを調節できるデバイスを開発
東北大学らは、点滴ラインの絡まりを防ぎ、長さ調整を容易にするデバイス「カラフルラインホルダー」を開発した。YKアクロスが全国販売を開始する予定だ。 - 遠隔手術支援および手術映像の教育活用の実証実験に成功
丸紅らは、手術記録システム「OPeDrive」と高セキュリティな接続を提供する「MECダイレクト」を活用した遠隔手術支援の実証実験に成功した。医療従事者向け教育プラットフォームの提供を開始する。 - 画像由来や音楽由来の感情に関連する脳部位を特定
情報通信研究機構(NICT)らは、fMRIを用いた心理実験により、映像視聴時に視覚や聴覚から感情が喚起されたときに異なる活動をする脳部位を特定した。 - 水道水より浄水で顆粒だしを調製した方が、不快臭が少ないことを発見
LIXILは、顆粒だしを水道水で調製すると、残留塩素により不快臭の原因物質であるアルデヒド類が生成されることを発見した。残留塩素を除去した浄水で調製すると、アルデヒド類由来の不快臭は抑えられた。