遠隔手術支援および手術映像の教育活用の実証実験に成功:医療機器ニュース
丸紅らは、手術記録システム「OPeDrive」と高セキュリティな接続を提供する「MECダイレクト」を活用した遠隔手術支援の実証実験に成功した。医療従事者向け教育プラットフォームの提供を開始する。
丸紅は2024年10月8日、OPExPARK、国際医療福祉大学、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と共同で、手術記録システム「OPeDrive」と高セキュリティな接続を提供する「MECダイレクト」を活用した遠隔手術支援の実証実験に成功したと発表した。また同日、実証実験の成果をもとに、NTT Comは医療従事者向け教育プラットフォームの提供を開始した。
実証実験は、国際医療福祉大学成田病院と同大学三田病院をフィールドに実施した。成田病院の術中を想定した模擬映像をOPeDriveに保存、MECダイレクトを経由して三田病院に伝送し、映像をもとにした三田病院の医師からのアドバイスが成田病院に遅延なく通じているかを評価した。また、手術支援の映像を「docomo MEC」に保存し、教育コンテンツとして三田病院からセキュリティを担保した状態で閲覧可能か評価した。
その結果、映像伝送の遅延値0.5秒以下であり、手術支援および医療教育として活用できることが確認された。また、docomo MEC基盤上に保存した手術映像はセキュリティを担保した状態で蓄積でき、インターネットを介さずに全国どこでもセキュアに閲覧できることも確認された。
この結果をもとに、NTT Comは手術映像を遠隔地に低遅延かつセキュアに伝送し、遠隔手術支援や医療教育教材に活用できる医療従事者用教育プラットフォームの提供を開始した。
OPeDriveは、術野に加え周辺映像や機器映像を時間同期させて録画できる製品。手術映像の記録、編集、症例学習が可能で、術中の重要ポイントで音声の自動認識によるコメント挿入などができる。
MECダイレクトは、リアルタイム性やセキュリティ向上を図るサービスであるdocomo MECのオプションサービスで、端末とMEC基盤を直結し通信経路を最適化している。
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