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「世界初」空気圧で滑らかに動く手術ロボット、大学発ベンチャーが発売医療機器ニュース(1/2 ページ)

大学発ベンチャーで先進医療機器を開発するリバーフィールドが、小型・軽量で操作性に優れた内視鏡ホルダーロボット「EMARO(エマロ)」を発表。人間のように柔らかな操作が行える空気圧制御によって、執刀医が助手の補助無しで内視鏡を思うがままに操れるという。

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 先進医療機器の開発を手掛けるリバーフィールドは2015年7月31日、小型・軽量で操作性に優れた空気圧駆動型内視鏡ホルダーロボット「EMARO(エマロ:Endoscope MAnipulator RObot)」を発表した。ホギメディカル(販売代理店)を通じて同年8月から販売を開始する。価格は1500万円(税別)から。生産目標は月産3〜5台(3年間で100台)。

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空気圧駆動型内視鏡ホルダーロボット「EMARO(エマロ)」

 近年の外科手術では、術後の回復が早く傷口も小さくて済むことから内視鏡などを使った低侵襲手術(身体への侵襲度が低い医療機器を用いた診断・治療)が従来の開腹手術に代わって注目されている。

 その低侵襲手術の支援技術で強みを持つリバーフィールドは、2014年5月に設立された東京工業大学発のベンチャー企業だ。同大学 精密工学研究所で長年研究されている流体計測制御技術を基盤とし、東京医科歯科大学 低侵襲医学研究センターと進めてきた共同研究をベースに、文部科学省の大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)におけるプロジェクト「気体の超精密制御技術を基盤とした低侵襲手術支援ロボットシステムの開発」の事業化を目的に設立された。2014年8月には大手ベンチャーキャピタルのジャフコから約2億円の資金を調達している(→関連記事「次世代手術ロボットを手掛ける東工大発ベンチャー、2億円の資金を調達」)。

 今回開発したEMAROは、東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 教授の川嶋健嗣氏(元東京工業大学准教授)と東京工業大学 精密工学研究所 准教授の只野耕太郎氏の両氏による、空気圧を用いた超精密制御技術に関する10年を超える研究成果を応用した手術支援ロボットだ。空気圧によって駆動する手術支援ロボットは世界初だという。

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EMAROの開発コンセプト

 現在の内視鏡手術では、執刀医の他に内視鏡を保持するスコピスト(手術支援者)が助手として必要となり、執刀医とスコピストとの意思疎通の難しさや、疲労から保持する手がブレるといった課題があった。EMAROはこのスコピストに代わり、空気圧制御のアームが内視鏡を保持。執刀医の頭部に搭載したジャイロセンサーによって、頭を動かす動作(上下、左右)とフットスイッチ(前後、回転)だけで直感的に内視鏡を操作できるという。

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頭を動かす動作とフットスイッチだけで直感的に内視鏡を操作可能

 「内視鏡は腹部に挿入するため手術をするのと一緒で、スコピストも執刀医と同じ医師免許が必要。EMAROを用いることにより、執刀医はスコピストを介することなく、より正確な手術を行うことができる。また、スコピストの役目をEMAROが担うため、医師不足に悩む中小規模の病院でも腹腔鏡手術が可能となり、より多くの患者がこの手術を受けられるようになる」(川嶋氏)。

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