長時間の手術で医師の手を疲れさせない、モーター不使用の手術支援ロボット:医療機器ニュース
デンソーは、手術時に医師の腕を支え、生理的に生じる手のふるえや疲れを軽減する手術支援ロボット「iArmS(アイアームス)」の販売を開始した。
デンソーは2015年4月27日、手術支援ロボット「iArmS(アイアームス)」を開発し、同年4月1日から販売を開始したと発表した。
iArmSは、手術時に医師の腕を支え、生理的に生じる手のふるえや疲れを軽減する手術支援ロボットだ。医師が腕を動かしたい位置にロボットアームが自由に追従し、かつ手術にはしっかりと固定され医師の腕を支えます。医師の直感的な操作を可能にするため、内蔵されたセンサーが「腕を置く」「腕を静止する」「腕を浮かせる」という動作を感知し、「Hold:術中の腕の固定」「Free:腕の移動」「Wait:周辺機器操作時の待機」の3つの動作をスイッチを使うことなく自動で切り替える。
また、医療現場で求められる高い安全性と軽やかな操作性を実現するため、動作はモーターを使わず、重力バランスと腕の動きによって行う。
現在、医療現場では、顕微鏡や内視鏡の普及によって長時間かつ繊細な手術が増え、医師から、生理的に生じる手のふるえや疲れを軽減したいという要望が増加しているという。このような需要に応えるため、デンソーは2012年から信州大学医学部脳神経外科(長野県松本市)、東京女子医科大学先端生命医科学研究所(東京都新宿区)と共同でiArmSの実用化開発に着手。2014年9月からは、信州大学倫理委員会の承認を得て、信州大学医学部脳神経外科と耳鼻咽喉科で実際の手術に用いる臨床研究を進めていた。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2020年の手術ロボットは赤血球を直接扱える!?
川崎重工とシスメックスの合弁企業・メディカロイドは、「未来医XPO’15」において、2019〜2020年を目標に開発を進めている手術ロボットのイメージデモを披露した。 - 川崎重工業の医薬品製造用ロボットはなぜ6軸ではなく7軸なのか
「第5回 関西 医療機器開発・製造展」と併催の「第1回インターフェックス 大阪」では、川崎重工業が医薬品製造用ロボット「MSN005」を出展。オールステンレス構造の他、ロボットの自由度が7軸あることが特徴となっている。 - トヨタが期待を寄せるロボット産業、「華やかそうに見えて開発はどろくさい」
「CEATEC JAPAN 2014」でトヨタ自動車 パートナーロボット部 部長の玉置章文氏が、同社が取り組む介護・医療向けパートナーロボットの開発について講演を行った。一部のロボットについては、2014年末から臨床研究向けに有償提供を開始するという。 - デンソーの医薬品向け産業用ロボット、アルミ表面を滑らかに磨き上げ
デンソーは、東京都内で開催した「デンソーデザインの変化展において、医薬品や食品向けの「耐VHP産業用ロボット」を展示した。 - トヨタ、リハビリ向けロボットの臨床研究モデルを開発
トヨタ自動車が、2011年に発表した医療支援向けのロボットに改良を加え、リハビリテーション支援を目的とした臨床研究モデルを開発した。早期実用化を目指し、2014年秋には、医療機関への提供(有償)を開始する予定だ。