川崎重工業の医薬品製造用ロボットはなぜ6軸ではなく7軸なのか:MEDIX関西
「第5回 関西 医療機器開発・製造展」と併催の「第1回インターフェックス 大阪」では、川崎重工業が医薬品製造用ロボット「MSN005」を出展。オールステンレス構造の他、ロボットの自由度が7軸あることが特徴となっている。
2015年2月4〜6日にインテックス大阪で開催された「第5回 関西 医療機器開発・製造展(MEDIX関西2015)」。他にもさまざまな医療関連展示会がインテックス大阪の会場全体を使って併催されており、これら全体をまとめて「メディカル ジャパン2015」と呼称している。
併催展の1つ「第1回インターフェックス(医薬品 研究・製造技術展) 大阪」において、川崎重工業が出展していたのが医薬品製造用ロボット「MSN005」である。
MSN005は、同社が展開している産業用ロボットを、オールステンレス構造にし、米国薬品医薬局(FDA)への規格や、クリーンルーム内での利用に適合させたものだ。オールステンレス構造なので、過酸化水素ガスによる滅菌やアルカリ液による洗浄を行っても、腐食などが起こらない。
最大の特徴となっているのが、ロボットの自由度が6軸ではなく7軸あることだ。一般的な産業用ロボットの自由度は6軸であり、医薬品の製造に対応する先述の機能があればわざわざ7軸にする必要はないように感じられる。
川崎重工業の説明員によれば、「高活性の医薬品を製造するクリーンルームは、その中から原材料がなくなった状態でなければ作業員が立ち入ることはできない。これは、高活性の原材料が、作業員の健康に大きな影響を及ぼす可能性があるからだ。つまり、そこで使うロボットは、自身を含めてクリーンルーム内を洗浄できなければならない。MSN005の自由度が7軸あるのは、それらの作業に必要となる動作範囲を広げるためだ」という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- デンソーの医薬品向け産業用ロボット、アルミ表面を滑らかに磨き上げ
デンソーは、東京都内で開催した「デンソーデザインの変化展において、医薬品や食品向けの「耐VHP産業用ロボット」を展示した。 - 川崎重工、衛生面に優れた医薬・医療向けアーム型ロボット2機種を発売
川崎重工業は、医薬・医療向けロボット「MC004N」と「MS005N」の2機種を2013年11月1日より発売すると発表した。 - 専用ロボットで医薬品を製造、カメラを含めたトータルソリューションも
三菱電機は、「第5回 関西 医療機器開発・製造展(MEDIX関西2015)」において、医薬品製造に対応する産業用ロボット「MELFA Fシリーズ」のデモンストレーションを披露した。 - いまさら聞けない産業用ロボット入門〔前編〕
日本は「ロボット大国」とも呼ばれていますが、その根幹を支えているのが「産業用ロボット」です。それは世界の産業用ロボット市場で圧倒的に日本企業がシェアを握っているからです。では、この産業用ロボットについてあなたはどれくらい知っていますか? 今やあらゆるモノの製造に欠かせない産業用ロボットの本質と基礎を解説します。 - いまさら聞けない産業用ロボット入門〔後編〕
日本が「ロボット大国」とも呼ばれる中、中心を担う産業用ロボットの概要と将来像について紹介する本企画。〔後編〕では、産業用ロボットと最新技術と将来像について、紹介したいと思います。