Bluetoothの測距機能が強化、デジタルキーの高精度化などに貢献:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
Bluetooth SIGは距離認識技術「チャネルサウンディング」に関する説明会を開いた。
チャネルサウンディングは、デジタルキーのセキュリティ向上にも資するという。ある程度の距離に近づかないと解錠しない、ある程度離れたら施錠するといった高度な制御を実現し、ドアとカギのアプリケーションとしてのセキュリティ性を高める。
また、通信面ではラウンドトリップタイム(通信の往復時間)による2次的な距離測定も組み合わせることで攻撃しにくくする。位相を使った距離測定とラウンドトリップタイムの両方を攻撃することは難易度が高く、システムレベルで攻撃に気付きやすくなるとしている。車両窃盗の手口の1つであるリレーアタックへの対応にも貢献するという。
紛失防止タグやデジタルキー以外にも、設備を安全な距離からのみ操作できるようにする産業用途も想定している。Bluetooth対応デバイスは2024年に50億台が出荷される見通しで、さまざまなアプリケーションが生まれるとBluetooth SIGは期待を寄せる。
UWB(Ultra Wide Band、超広帯域)通信でもBluetoothのチャネルサウンディングと同様のアプリケーションが実現している。これについてBluetooth SIG テクニカルマーケティングディレクターのデーモン・バーンズ氏は「UWBはより精度が高く、mm単位の測位に対応している。ただ、Bluetoothのチャネルサウンディングは7〜8割方のユースケースに対応でき、より速く検知できると考えている。UWB単体のユースケースはあまりなく、BluetoothのチャネルサウンディングとUWBを併用する用途も出てくるのではないか」とコメントした。
今後のBluetoothの予定
Bluetooth SIGは、過去数年間で高速通信や長距離通信、メッシュ通信、次世代オーディオ、電子値札など向けの大規模ハブなど機能を強化してきた。
2025年以降は、「Bluetooth HID」という超低遅延ヒューマンインタフェースデバイス向けの技術を発表する予定だ。Bluetooth HIDはゲーミング用などを想定して遅延時間を1ms以下に抑えて応答性を高め、ユーザー体験を向上させる。
また、最大通信速度を8Mbpsに向上させる高データスループットも展開を予定している。オーディオストリームの増加やデータ同期の高速化、ゲームコントローラーの応答性向上など既存のユースケースの改良だけでなく、新たなユースケースの実現にもつながると見込む。
ワイヤレスオーディオの機能向上や、高周波数帯域への対応も計画している。
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