Bluetoothの測距機能が強化、デジタルキーの高精度化などに貢献:組み込み開発ニュース(1/2 ページ)
Bluetooth SIGは距離認識技術「チャネルサウンディング」に関する説明会を開いた。
Bluetooth SIG(Special Interest Group)は2024年10月29日、同年9月に発表した距離認識技術「チャネルサウンディング」に関する説明会を開いた。カギや財布などの紛失防止タグや、デジタルキーといったBluetoothを使うアプリケーションの利便性向上やさらなる普及を後押しするとともに、精度やセキュリティの改善に貢献する。
すでに複数の企業がチャネルサウンディングに対する支持を表明しており、チャネルサウンディングに対応したチップやモジュール、スタックが2024年内に登場する。エンドユーザー向けの製品が販売されるのは2025年以降になりそうだ。また、2024年9月にリリースされたAndroid15のアップデートとなるQPR(Quarterly Platform Release)3での対応が予定されている。2024年時点で、紛失防止タグは2024年に1億5000万台、デジタルキー対応デバイスも2900万台の出荷が見込まれている。
チャネルサウンディングは、Bluetoothデバイス同士の測距機能だ。位相ベース測距(Phase-Based Ranging、PBR)に基づいており、10cm単位の精度を達成した。無線測距に対する攻撃から守るため、多層セキュリティ対策が施された。初期から協力しているBluetooth SIGメンバー企業による実証的な実装では、最大100m離れた距離でも±20cmの精度を実現したという。
また、韓国のサムスンシステムLSIとドイツのLambda:4による規格確定前のプロトタイプによる性能試験では、距離1mであれば誤差ゼロで高精度だった。20〜50mでも十分な精度があることを確認した。また、50mでの実験では、コネクテッドカーの規格団体が指定する基準を満たす結果となった。人が衣服の後ろポケットに入れている状態を想定した試験も行ったところ、パフォーマンスは低下したものの他の規格に対して比較的良い結果が得られたという。
自動車用スマートキーにおいてBluetoothは高級車向けがメインだが、チャネルサウンディングが普及すればエントリークラスの車両にも展開されると見込む。ICCOA(インテリジェントカーコネクティビティオープンアライアンス)は、Bluetoothによるデジタルキーにチャネルサウンディングを追加することを検討中だ。
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