大物ワークを高効率に加工、牧野フライスの立形MCで最大ストローク:工作機械
牧野フライス製作所は、立形マシニングセンタ「V900」の販売を開始した。同社立形マシニングセンタの中で最大のストロークを持ち、最大のワークを加工できる。特に、Y軸ストロークが1300mmと大幅に拡大している。
牧野フライス製作所は2024年9月26日、立形マシニングセンタ「V900」の販売を開始した。
V900は、ストロークがX軸2000mm、Y軸1300mm、Z軸800mmで、最大ワーク寸法は2200×1500×700mm。同社の立形マシニングセンタの中で最大のストロークを持ち、最大のワークを加工できる。
特にY軸ストロークが大幅に拡大されており、大型化が進む自動車部品などの金型を高効率で加工できる。工具収納本数は標準仕様が48本で、特別仕様は94本。特別仕様でも機械の奥行き寸法は変わらない。
切削送り速度は1〜4万mm/分。特許取得済みの「イナーシャ適応制御」により、自動的にテーブル慣性を測って最適な加減速をする。また、横形マシニングセンタで実績のある「スラントコラム構造」により、加工面の乱れを防止する。他に、テーブルの中心だけでなく全域で、長時間の連続運転でも安定した高い加工精度を維持する。
最適な加工モードを選択できる「スーパーGI.6制御」や、コーナー周辺の食い込みを低減する「GIスムージング」機能により、加工面の品位を向上できる。さまざまな工場環境で位置決め誤差を抑制する「eSTABILIZER」は、加工品質を安定させ、省エネにも貢献する。
切削時間を短縮する機能として、次の穴加工位置へ円弧状の経路で移動する「GIドリリング」や、加工時にコーナーで発生する減速を抑える「GIミーリング」を備える。また、穴加工時に出る長い切りくずを分断する「GIブレーカ」で非切削時間も短縮する。テレスコピックカバーなどの切りくずは、少量のクーラントで効率良く処理可能だ。
3方向からアプローチできるため、ワークや主軸などに接近しやすく、作業効率が向上する。ワークや工具の干渉を防ぐコリジョンセーフガードで、安全性も高めた。
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