牧野フライスが大型部品対応の横形マシニングセンタ、多様な被削材を加工:工作機械
牧野フライス製作所は、横形マシニングセンタ「a91nx」を発売した。経済性と環境、メンテナンス性に優れた機能を搭載し、3タイプの主軸が多様な被削材の加工に対応する。
牧野フライス製作所は2023年6月2日、横形マシニングセンタ「a91nx」を発売した。国内販売価格は7800万円(税別)で、同年12月から出荷を開始する。
パレットサイズが800×800mmと大きく、大型の半導体製造装置や各種産業機器の部品加工向け仕様となる。主軸の最高回転数1万min−1の標準タイプのほか、オプションとして8000min−1の高トルクタイプ、1万5000min−1の高速タイプがあり、鋳鉄やアルミなど多様な被削材の加工に対応する。
主軸性能が高く、重切削やアルミの高速加工で高い切削能力を発揮する。高トルクタイプは、被削材FCD450に対して軸方向切り込み量が10mm、切りくず排出量が1418cm3/分。高速タイプは、被削材A7050に対して軸方向切り込み量が4mm、切りくず排出量が2400cm3/分となっている。
加工室内は切りくずがとどまりにくい構造を採用しており、クーラントやエアーなどを削減できるため、コストが抑えられ、環境への配慮にもつながる。また、タンク内に設置した攪拌(かくはん)ノズルやオプションのクリーンタンクコンベヤーにより、クーラントのメンテナンス負担を軽減する。
フレキシブル生産システムにも対応する。軸移動量は、X軸が1400mm、Y軸1200mm、Z軸が1350mm、B軸移動量は360度。最大ワークサイズは直径1450×高さ1450mmで、最大積載質量は2000kgだ。同社の5軸制御横形マシニングセンタ「a900Z」と混成ラインを構築することで、生産性向上に寄与する。
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