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ODMメーカーの種類と特徴、そして選び方のポイント【中編】ODMを活用した製品化で失敗しないためには(4)(2/2 ページ)

社内に設計者がいないスタートアップや部品メーカーなどがオリジナル製品の製品化を目指す際、ODM(設計製造委託)を行うケースがみられる。だが、製造業の仕組みを理解していないと、ODMを活用した製品化はうまくいかない。連載「ODMを活用した製品化で失敗しないためには」では、ODMによる製品化のポイントを詳しく解説する。第4回のテーマは、前回に引き続き「ODMメーカーの種類と特徴、そして選び方のポイント」だ。

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日程作成

 ODMを依頼する企業は、製品化の設計で特徴的な以下の4つの項目を日程に盛り込める(日程作成できる)ODMメーカーを選定しなければならない。

  • 試作と検証(試験/測定)、設計修正の期間
  • 金型作製の期間
  • 安全規格の認証取得の期間
  • 量産準備の期間
製品化の日程
図1 製品化の日程[クリックで拡大]

 試作と検証、設計修正の期間は、設計が完了し、試作部品を発注/購入して試作セットを作り、決めた検証項目の試験や測定を実施して、そこで見つかった問題点の設計修正を終えるまでの期間である。

 金型作製の期間は、金型を発注し、金型部品で作った試作セットの検証結果による設計修正を行い、金型が完成するまでの期間である。

 安全規格の認証取得の期間は、申請準備から認証申請、そして認証取得までの期間である。

 量産準備の期間は、製品の組み立て順と組み立て方法を決め、QC工程表、作業標準書、治具などを準備する期間である。

協力メーカーの有無を調べる

 製品化には、以下のような協力メーカーも必要となる。

  • カートン、緩衝材、取扱説明書などの設計と製造メーカー
  • 試験/測定機関
  • 認証取得機関

 製品には、製品本体以外にもカートン、緩衝材、取扱説明書などが含まれるため、それぞれ別途、設計と製造が必要だ。これらは、ODMメーカーでは対応できない場合がほとんどなので、外注しなければならない。ODMメーカーが既にこれらの協力メーカーと取引していれば、新たに外注先を探さずに済むため、ODMメーカーを選定する際に確認しておくとよいだろう。

 ODMメーカーの社内に、ある程度の試験/測定装置が備わっている場合もあるが、決めた検証項目の全ての試験や測定ができるとは限らない。できない場合は、外部の機関を使用するか、試験/測定依頼をするしかないため、ODMメーカーの選定時に、どの程度の試験/測定装置があるかを確認するとともに、普段使用している試験/測定機関があるかも併せて聞いておくべきだ。

 安全規格の認証は外部機関で行うが、通常使用している機関があれば新たに探す必要はない。また、認証機関には、認証申請前に試作セットの構造確認をしてもらう場合もあるため、設計の相談に乗ってもらいやすい認証機関と付き合いのあるODMメーカーを選定できるとよい。 (次回へ続く

⇒ 連載バックナンバーはこちら

筆者プロフィール

小田淳

オリジナル製品化/中国モノづくり支援
ロジカル・エンジニアリング 代表
小田淳(おだ あつし)

上智大学 機械工学科卒業。ソニーに29年間在籍し、モニターやプロジェクターの製品化設計を行う。最後は中国に駐在し、現地で部品と製品の製造を行う。「材料費が高くて売っても損する」「ユーザーに届いた製品が壊れていた」などのように、試作品はできたが販売できる製品ができないベンチャー企業が多くある。また、製品化はできたが、社内に設計・品質システムがなく、効率よく製品化できない企業もある。一方で、モノづくりの一流企業であっても、中国などの海外ではトラブルや不良品を多く発生させている現状がある。その原因は、中国人の国民性による仕事の仕方を理解せず、「あうんの呼吸」に頼った日本独特の仕事の仕方をそのまま中国に持ち込んでしまっているからである。日本の貿易輸出の85%を担う日本の製造業が世界のトップランナーであり続けるためには、これらのような現状を改善し世界で一目置かれる優れたエンジニアが必要であると考え、研修やコンサルティング、講演、執筆活動を行う。

ロジカル・エンジニアリング Webサイトhttps://roji.global/

著書

製品化 5つの壁の越え方: 自社オリジナル製品を作るための教科書中国工場トラブル回避術 原因の9割は日本人

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