検索
連載

ODMメーカーの種類と特徴、そして選び方のポイント【中編】ODMを活用した製品化で失敗しないためには(4)(1/2 ページ)

社内に設計者がいないスタートアップや部品メーカーなどがオリジナル製品の製品化を目指す際、ODM(設計製造委託)を行うケースがみられる。だが、製造業の仕組みを理解していないと、ODMを活用した製品化はうまくいかない。連載「ODMを活用した製品化で失敗しないためには」では、ODMによる製品化のポイントを詳しく解説する。第4回のテーマは、前回に引き続き「ODMメーカーの種類と特徴、そして選び方のポイント」だ。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 前回(前編)に引き続き、ODM(設計製造委託)メーカーの種類と特徴、そして選び方のポイントについて解説する。

⇒ 連載バックナンバーはこちら

金型に関する知識があるか調べる

 金型は、製品に樹脂部品があれば必要となる。また、板金部品や金属部品であっても、総生産個数が約1000個以上であれば、金型が必要となる。金型が必要であるか否かの説明については、本連載の趣旨とは異なるため割愛するが、金型に関して詳しく知りたい方は連載「ベンチャーが越えられない製品化の5つのハードル」の第8回第9回を参照してほしい。

 金型は、次の点で製品化に大きな影響を及ぼす。

  • 部品形状
  • コスト
  • 日程

 特に、樹脂部品の設計には金型の知識が不可欠なため、金型で作った部品を設計した経験のある設計者が必要だ。また、金型費の知識がなければODMメーカーとコストの契約を交わせない。さらに、金型日程の知識がなければ製品化の日程も立ててられない。

 以前、金型の知識がない連携型ODMメーカー※注1に設計と製造を委託したベンチャー企業があった(連載「ベンチャーが超えられない製品化5つのハードル」の第8回参照)。このベンチャー企業は全く設計の知識がなかったため、ほぼ丸投げで外観部品の金型の作製を依頼。すると、製品としてあり得ない構造の金型が出来上がってしまい、結局作り直しとなって約200万円を無駄にする結果となった……。

※注1:ODMメーカーの種類については、連載第3回を参照のこと。

 ODMメーカーを選定する際、これから作ろうとする製品の構成部品に金型の必要な部品があれば、金型で作った部品を設計した経験のある設計者が在籍しているかどうかを必ず確認してほしい。

設計以外の製品化の基礎知識を調べる

 ここまでは、自社オリジナル製品をODMする際に調べなければならない内容を、設計/技術的視点から解説した。次に、それ以外に調べなければならない内容について紹介する。その内容とは、以下の3つだ。

  • 検証項目
  • 安全規格
  • 日程作成

検証項目

 設計者は、ユーザーがけがをしない(安全性)ように、また簡単に壊れない(信頼性)ように製品を設計しなければならない。そして、設計後には、その検証を行うために検証項目を決める必要がある。

 検証とは、製品が製品仕様を満足しているかを試作セットで試験したり、測定したりして確認することだ。検証項目は、本来ODMを依頼する企業が決め、「この試験をクリアできる製品を設計してほしい」と依頼すべきだが、自社オリジナル製品を初めて作る企業にとって、それを決めるのは難しい。つまり、ODMメーカーが検証項目を提案できなければならないのだ。

 よって、ODMを依頼する企業は、設計を依頼された製品にどのような検証が必要であるかを提示してくれるODMメーカーを選定すべきだ。だたし、それらの検証項目と評価方法/判定基準に関しては、最終的にODMを依頼する企業が判断しなければならない。このことは忘れないでほしい。

安全規格

 安全規格は、安全性の中で各国が法令として定めているものだ。もちろん、ODMを依頼する企業がODMメーカーに必要な安全規格を提示できればよいが、安全規格の知識が全くなければ調べることさえできない。よって、ODMメーカーのサポートが必要なのだ。さらに、安全規格は最終的に認証取得が必要だ。そのためには、申請する試作セットの作製と申請資料の作成が必須であるとともに、申請の知識、おおよその認証取得期間についても知っておく必要がある。

 つまり、ODMを依頼する企業は、安全規格の必要性の相談に乗ってくれて、認証申請の業務もしてくれ、さらに認証取得までの期間を日程に盛り込めるODMメーカーを選定しなければならない。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る