靴に装着する振動ナビゲーションデバイスの新モデルを発売:医療機器ニュース
Ashiraseは、靴に装着したデバイスの振動で、視覚障害者の歩行をサポートするナビゲーションデバイスの新モデル「あしらせ2」の販売を開始した。軽量化やデザイン変更のほか、位置と方位推定の精度を高めている。
Ashiraseは2024年10月1日、靴に装着したデバイスの振動を通じて、視覚障害者の歩行をサポートするナビゲーションデバイス「あしらせ」の新モデル「あしらせ2」を発売した。ユーザー位置や方位推定の精度を高めるとともに、デバイスを軽量化し、幅広いユーザーが使えるデザインにモデルチェンジした。
あしらせは、聴覚や視覚で地図情報を得るのではなく、靴に装着したデバイスの振動と専用アプリケーションで、目的地までのルートや曲がるタイミングなどを案内する。
新モデルでは、ユーザー位置や方位推定の精度を高めるために、スマートフォン標準のセンサーに加え、3次元の慣性運動を検出するIMU(Internal Measurement Unit)や磁気、GNSSなど、あしらせ搭載センサーのデータを組み合わせた。複数のセンサー情報から取得した歩行位置データを独自アルゴリズムで補正し、視覚障害者にとって歩きやすいルートを提案する。位置情報のずれは、自動運転の自車位置推定技術を応用した、あしらせ独自のユーザー歩行位置推定技術により改善した。
また、装着時の靴の中の違和感を低減するため、振動部分の素材は柔らかく薄い形状を採用している。先行販売モデルより15%小型化し、幅広い靴になじむようユニセックスなデザインへと変更した。利用できる靴のサイズの目安は22.5〜28.5cmだ。
本体価格は5万4000円(非課税)で、専用アプリの基本使用料は月額550円あるいは年額6000円(税込)。iPhone、iPadなどiOS端末に対応する。
Ashiraseは、本田技研工業の新規事業創出プログラム「IGNITION」の第1号として2021年に設立したスタートアップだ。自動運転などの技術を応用して視覚障害者の歩行を支援する振動インタフェースやナビゲーションアルゴリズムを開発している。2023年に実施した購入型クラウドファンディングでは目標金額の700%を達成し、120台を先行販売した。
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