パナソニックHDは生成AI関連のデバイス事業が好調、IRA補助金の権利も資金化:製造マネジメントニュース
パナソニック ホールディングスは、2024年度第1四半期の連結業績を発表した。
パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は2024年7月31日、2025年3月期(2024年度)第1四半期(4〜6月)の連結業績を発表した。
パナソニックHDの2024年度第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比5%増の2兆1217億円、調整後営業利益が同9%減の843億円、営業利益が同7%減の838億円、税引き前利益が同4%減の1047億円、当期純利益が同65%減となる706億円となった。純損益は大幅なマイナスとなっているが、これは前年のパナソニック液晶ディスプレイ解散に伴う利益の反動で、一時的な要因によるものだ。
パナソニックHD 代表取締役 副社長執行役員 グループCFOの梅田博和氏は「くらし事業、オートモーティブ領域、エナジー領域が減収したが、コネクト領域とインダストリー領域などは販売増があり、増収となった。特に生成AIに関連するデバイス領域が伸びている。減益になっているところはおおむねは想定通りのところが多いが、くらし事業における中国の家電市場は想定よりも落ち込んだ」と述べる。
パナソニックHDでは、米国IRA(Inflation Reduction Act)法による補助金による収益が得られるめどが立っていたが、直接給付という形で資金化に2年くらいかかる見込みであるため、2024年7月に第三者への権利売却をすることを決定した。それに伴い、2024年度第1四半期は資金化コストとして55億円のコストを見込んでいる。梅田氏は「当初は直接給付で資金化を進める想定だったが、巡りあわせにより経済的合理性があることが認められたため、資金の早期取得が合理的だと考えて選択した」と述べる。
通期連結業績見通しは2024年5月の公表から変更していない。
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