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次世代の「水道哲学」に挑戦、パナソニックHDが技術未来ビジョンを発表製造マネジメントニュース(1/3 ページ)

パナソニック ホールディングスは、約10年ぶりに長期の技術開発の方向性を定めた「技術未来ビジョン」を発表した。

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 パナソニック ホールディングスは2024年7月25日、約10年ぶりに長期の技術開発の方向性を定めた「技術未来ビジョン」を発表した。2040年にありたい社会の姿から逆算し、「資源価値最大化」「有意義な時間創出」「自分らしさと人との寛容な関係性」の3つの切り口での技術開発を進めていく方針を示した。

次世代の「水道哲学」に挑戦する

 パナソニック ホールディングスでは約10年前にR&Dの形が大きく変わったタイミングで、長期技術ビジョンを発表。当時は「AI(人工知能)」「IoT(モノのインターネット)」「ロボティクス」「蓄電池」「水素」などをキーワードとして挙げていたが、今回は社会の変化やパナソニックグループの体制変化などを踏まえ、2040年からバックキャストする形で、技術ビジョンを描いた。

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パナソニック ホールディングスの執行役員でグループCTOの小川立夫氏

 パナソニック ホールディングスの執行役員でグループCTOの小川立夫氏は「当時掲げた技術が今は資産として形になるなど成果は着実に生まれている。10年前は技術的なトレンドから長期技術ビジョンを構築したが、今回は2040年のありたい社会を描き、そこからのバックキャストで組み立てていったことが特徴だ」と違いについて述べている。

 その中で実現したい未来像として「一人ひとりの選択が自然に思いやりへとつながる社会」を描き、そのために3つの「めぐる」をコンセプトとして打ち出す。1つ目は「エネルギー・資源がめぐる」、2つ目が「生きがいがめぐる」、3つ目は「思いやりがめぐる」だ。これは、環境問題などに対する「資源価値最大化」、業務の効率化などによる「有意義な時間創出」、テクノロジーによる他者理解などを促進する「自分らしさと人との寛容な関係性」などを示しているという。

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パナソニック ホールディングスの技術未来ビジョンにおける実現したい未来像とそれに必要な技術群[クリックで拡大] 出所:パナソニック ホールディングス

 パナソニックグループの創業者である松下幸之助氏は「この世に必要なものを、ただに等しい水道の水のように豊富にすれば、私たちの貧苦はなくなるであろう」とする「水道哲学」を示した。新たな技術未来ビジョンでは「グリーンなエネルギーと生きがい、思いやりを無駄なく、あまねく行き渡らせる次世代の水道哲学に挑戦する」と小川氏は語っている。

ペロブスカイト太陽電池は2026年にテストマーケティング開始

 「資源価値最大化」に向けた取り組みでは、具体的に蓄電池、蓄電システム、半導体材料、次世代半導体実装、GaNウエハーとデバイス、充電ピーク制御、グリーン水素製造、燃料電池、エネルギーマネジメント、エネルギーP2P取引、ペロブスカイト太陽電池などの研究開発を進める。

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「資源価値最大化」に向けて取り組む技術群[クリックで拡大] 出所:パナソニック ホールディングス

 その内、ペロブスカイト太陽電池については、2024年秋以降に1×1.8mモジュールの大阪府守口市の研究施設で試作ラインを立ち上げ、2026年に建材一体型太陽電池のテストマーケティングを開始する。「2028年までに販売することを当初目標としていたが、テストマーケティングではあるがその予定を早める」(小川氏)。

 ペロブスカイト太陽電池は、有機物と無機物から構成されるハイブリッドの結晶構造を発電部に採用した太陽電池で、加工性、柔軟性、低温形成に優れる有機材料の特徴と、半導体特性を有し高いエネルギー変換効率を誇る無機材料の特徴を兼ね備えている。そのためガラスに直接形成し建材などに埋め込むことが可能で、設置場所を選ばずに太陽電池による発電を行うことができると期待されている。小川氏は「ペロブスカイト太陽電池については神奈川県藤沢市の『Fujisawaサスティナブル・スマートタウン』で2023年8月から実証実験をしているが、家屋での見え方などさまざまなフィードバックを得ている。新たな顧客ルート開拓にもつながっている」と述べている。

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ペロブスカイト太陽電池での取り組み[クリックで拡大] 出所:パナソニック ホールディングス

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