次世代の「水道哲学」に挑戦、パナソニックHDが技術未来ビジョンを発表:製造マネジメントニュース(2/3 ページ)
パナソニック ホールディングスは、約10年ぶりに長期の技術開発の方向性を定めた「技術未来ビジョン」を発表した。
現場の「労働」から解放するためのさまざまな技術を開発
「有意義な時間創出」に向けた取り組みとしては、センシングデバイスや行動認識AI、技能学習AI、ロボティクス、協調作業、遠隔化技術などで構成されるサイバーフィジカルシステム(CPS)に関する技術開発を推進する。合わせて、スキルマッチングや需給バランシングなどの研究も進める。
「目指したいのは多くの人が働きがいのある人間らしい仕事に取り組めるようにすることだ。現在は、必ずしも人がやる必要がなくても生活や業務に必要だからやらざるを得ない『労働』の時間が非常に長い。これを減らし、やりがいのある『仕事』や人と人とのつながりを生む『活動』により多くの時間を振り向けられるようにする。そのためにCPS技術を活用していく」と小川氏は考えを述べている。
個別化医療による細胞培養装置の展開を開始
「自分らしさと人との寛容な関係性構築」に向けて取り組む技術群としては、行動認識、感情認識、生体センシングのほか、健康寿命延伸ソリューション、フレイルやその予兆把握、細胞培養装置などの研究開発を進める。個々の人の持つ状態をより詳細にモニタリングできるようにし、個々の状態に応じた健康やスキル獲得などを推進していく。
特に新たな製品領域として力を入れているのが、モノづくりの知見も含めてパナソニックグループの力を発揮できる細胞培養装置だ。これは、個別化医療の低コスト化や短期間化を実現するためのものだ。個別化医療に利用する細胞は高度な施設で手技に頼って生産しているが、低コスト、省力化した培養装置を用いることで、どこでも個別医療が受けられる医療体制の実現に貢献する。その第1弾として、現在、患者のT細胞から樹立したiPS細胞を使って「個別のがん治療に用いるT細胞」の自動製造を実現する閉鎖系細胞培養装置の開発を進めているという。「シミュレーションや品質工学的アプローチなど、モノづくり技術を細胞培養技術に応用することで強みを発揮できる」と小川氏は述べている。
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