いまさら聞けない「サイバーフィジカルシステム」:5分で読める簡単解説(1/2 ページ)
現在大きな注目を集めている「サイバーフィジカルシステム(CPS)」。このサイバーフィジカルシステムがどういうことを示し、製造業にとってどういう意味があるのかを5分で分かるように簡単に分かりやすく説明します。
IoT(モノのインターネット)活用などで注目が集まる「サイバーフィジカルシステム(CPS)」ですが、これがどういうことを示し、製造業にとってどういう意味があるのかを「5分で分かる」ように簡単に分かりやすく説明します。
「サイバーフィジカルシステム(CPS)」とは何か
「サイバーフィジカルシステム」とは、現実(フィジカル)の情報を、コンピュータによる仮想空間(サイバー)に取り込み、コンピューティングパワーによる分析を行った上でそれをフィードバックし、現実の世界に最適な結果を導き出すという、サイバー空間とフィジカル空間がより緊密に連携するシステムのことです。
サイバーフィジカルシステムそのものの概念が提唱されたのは決して新しいモノではありませんが、注目されるようになったのは、さまざまなデジタル技術が進展し、現実の情報の多くをサイバー空間で処理することが可能になってきたからです。
現実の世界をデータに置き換えるセンシング技術、これらのデータを集めるネットワーク技術と収集先となるクラウドコンピューティング技術、集めたデータから予測や知見を導き出すAI(人工知能)を含む分析技術、そしてこれらを現実世界に反映する制御技術やロボティクス技術などです。
IoTやデジタルツインとの違い
サイバーフィジカルシステムを語る際には、IoTやデジタルツインなども一緒に語られることも多くあります。「どういう活用をするのか」という広い概念で見た場合は重なり合う部分も多いのですが、基本的にはどこにフォーカスを当てているのかということが違いとなります。
IoTは「Internet of Things」という名前の通り、あらゆるモノがインターネット接続できるようになることに焦点が当てられています。モノがネットワーク化されることでフィジカル世界におけるデータの収集と、逆にモノにネットワーク経由でデータを送ることで機能を果たすことが可能になりますが、「モノ」を中心に考えることが特徴です。
逆に「デジタルツイン」は、現実世界の情報を詳細に取得できるようになることでデジタル世界にフィジカル空間の情報を完全に再現する“双子”を作ることができるということを意味しています。そのためサイバー空間の中で再現された現実空間のコピーに焦点が当てられています。ある意味でIoTとデジタルツインは、表裏一体だといえるでしょう。
一方でサイバーフィジカルシステムは、これらの一連のシステム全体を指し示しています。IoTによりフィジカルデータを収集し、サイバー空間のデジタルツインにより得られた知見を、フィジカル空間でフィードバックするような一連のサイクルです。つまり、IoTやデジタルツインを活用して、現実世界に効果をもたらそうと考えた場合、そのシステムはサイバーフィジカルシステムになるといえます。
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