いまさら聞けない「サイバーフィジカルシステム」:5分で読める簡単解説(2/2 ページ)
現在大きな注目を集めている「サイバーフィジカルシステム(CPS)」。このサイバーフィジカルシステムがどういうことを示し、製造業にとってどういう意味があるのかを5分で分かるように簡単に分かりやすく説明します。
CPSを体現した「マリオカート ライブ ホームサーキット」
このサイバーフィジカルシステムを体現している例として、ぜひ紹介したいのが、任天堂がNintendo Switch向けに発売した新作レースゲーム「マリオカート ライブ ホームサーキット」です。
「マリオカート ライブ ホームサーキット」は、テレビゲームとリアルのラジコンレースを融合したゲームです。カメラが内蔵されたカートとNintendo Switchが連動し、リアルの家庭内に設置したゲートにより、レースコースを設定。そのレースコースをリアルのカートがカメラで撮影しながら走りますが、ゲーム画面上ではバーチャルでの敵や仕掛けなどが登場し、まさにサイバーとフィジカルが融合する世界でゲーム体験が行えるという仕組みとなっています。
カートのカメラ情報と稼働情報をIoTにより収集し、それをバーチャル空間上でデジタルツインとして再現して、バーチャル空間に登場させます。そして、ゲーム空間での操作や敵からの攻撃などの結果を、リアル空間にフィードバックしてカートを止めたり、加速させたりします。まさにサイバーフィジカルシステムを体現しているといえ、サイバーフィジカルシステムの本質を理解するのに非常に分かりやすい例だと考えます。
製造業にとってサイバーフィジカルシステムの意味
それでは、製造業にとって「サイバーフィジカルシステム」はどのような意味を持つのでしょうか。1つは、まさに「マリオカート ライブ ホームサーキット」が示しているように、サイバーとフィジカルを融合することで得られる新たな価値があるということが見えてきており、提供する製品の在り方が変わるということが考えられます。従来のように「モノ」だけの価値を考えるのではなく「サイバー」による価値を組み合わせることで得られる価値を想定し、その価値から逆算してモノの在り方を考えていくというように考えていかなければならなくなるでしょう。
もう1つは、社内のさまざまなモノづくりプロセスにもこうしたサイバーフィジカルシステムを活用できるようになってくるということです。小さな仕組みであれば装置の遠隔制御などが考えられますし、大きな仕組みであれば工場レベルでサイバーフィジカルシステム化を進めるような動きなども進められてきています。
これらのように製造業にとっては自社内のプロセス、提供するサービスなどあらゆる面でサイバーフィジカルシステムを活用することが求められ、大きな影響を与えると考えられます。
ここまで「サイバーフィジカルシステム」の説明をしてきましたが、いかがだったでしょうか。サイバーフィジカルシステムは概念であり明確な定義があるモノではありませんが、このサイバーとフィジカルを緊密に連携させることで生まれる新たな価値は今後確実に広がると見ています。そして、「フィジカルを組み合わせる」という点においてモノづくりの力を持つ日本の製造業が活躍可能なフィールドだと考えています。
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