次世代の「水道哲学」に挑戦、パナソニックHDが技術未来ビジョンを発表:製造マネジメントニュース(3/3 ページ)
パナソニック ホールディングスは、約10年ぶりに長期の技術開発の方向性を定めた「技術未来ビジョン」を発表した。
マルチモーダル基盤モデルにより、ひとや環境のモデル化を推進
さらにこれらの技術開発の基盤となる共通技術として、AIとCPSに関する共通基盤技術の開発を進める。共通基盤の開発とともに、ひとに関するモデル、暮らし方のモデル、空間のモデル、環境のモデルなどの構築を進め、さまざまなシミュレーションを共通基盤上で行えるようにする。
既にマルチモーダル基盤モデルとして「HIPIE(Hierarchical Open-vocabulary Universal Image Segmentation)」の構築は進めているが「さらに新たなモデルなどを組み込みながら適用範囲を広げていく。ストックマークとの協業も発表したが、日本語LLMへの対応なども組み合わせていく」と小川氏は語る。
既存の事業領域にとらわれず外部との協業などを推進
これらの研究開発について自社だけでなくパートナーとの共創も積極的進めていく。「事業会社での事業化だけが最終のアウトプットではない。自社内で難しければ外にも積極的に出していく」と小川氏は考えを述べている。研究開発分野を、既存の事業の延長であるHorizon1、既存事業との隣接領域であるHorizon2、全く新たなビジネスモデルとなるHorizon3に分け、既存の事業領域にとらわれずに、Horizon2と3の領域に挑戦していく。そのために、共創事業の型作り、柔軟な外部資産の活用、知財のオープン化、事業の評価指標作りなどに取り組む。
小川氏は「技術未来ビジョンとして抽象度が高いものとなっており、ビジネスとの直接的な関連性などを指摘される面もあると思うが、10年たてば常識も変わってくる。全てを経済的観点だけで測ろうとする考え方も変わってくる可能性もある」と訴えた。
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