レゾナックが石油化学事業の分社化に向け、クラサスケミカルを設立:製造マネジメントニュース
レゾナック・ホールディングスは、同社傘下のレゾナックが100%出資する子会社「クラサスケミカル株式会社」を同年8月1日付で設立することを決めた。クラサスケミカルは石油化学事業の分社化に向けた分割準備会社となる。
レゾナック・ホールディングスは2024年7月23日、同日開催の取締役会で、同社傘下のレゾナックが100%出資する子会社「クラサスケミカル株式会社」を同年8月1日付で設立することを決議したと発表した。クラサスケミカルは、レゾナック・ホールディングスが同年2月14日に公表した「石油化学事業のパーシャル・スピンオフ検討開始」に基づく分割準備会社として設立される。
石油化学事業のパーシャル・スピンオフ検討の背景と目的
レゾナック・ホールディングスにおける石油化学事業は、同社連結売上高の約20%を占める主要事業の1つで、「安定収益事業」と位置付けられている。今回のスピンオフにより、独立した上場会社として石油化学のグリーントランスフォーメーション実現に向けた取り組みを加速させることで、利益の拡大と競争力を強化する。この目的を実現するために、分割準備会社のクラサスケミカルを設立し、レゾナック・ホールディングスとレゾナックの石油化学事業の承継にむけ、準備を開始する。
石油化学事業の移行方式
レゾナック・ホールディングスとレゾナックを吸収分割会社とし、クラサスケミカルを吸収分割承継会社とする吸収分割方式を予定している。なお、レゾナック・ホールディングスとレゾナックにおいて、今回の吸収分割は、会社法第784条第2項の規定に基づく簡易吸収分割に該当する。そのため、レゾナック・ホールディングスとレゾナックの株主総会の決議による承認を得ずに行う予定だ。
今後のスケジュールについて、分割準備会社の設立は2024年8月1日で、今回の吸収分割に関する取締役会決議と吸収分割契約締結は同年10月、吸収分割の効力発生日は2025年1月1日を予定している。
今回の吸収分割により事業を承継する分割準備会社は、レゾナック・ホールディングスの完全孫会社に当たるため、連結業績に与える影響は軽微としている。
クラサスケミカルのパーシャル・スピンオフについても、2〜3年後の実行を念頭に置き、詳細内容の検討を進めている。この検討の中には、新会社の株式を上場する市場、日本や米国をはじめとする各国における税制適格要件の充足可能性などが含まれる。今回のスピンオフの実行は、証券取引所その他の関係当局、ステークホルダーの承認や認定、許認可などの取得を前提としている。
新社名について
クラサスケミカルという社名の「クラサス」は、ラテン語のCras(明日)と英語のSustainable(持続可能な)の組み合わせと、日本語の暮らしと英語のSustain(支える)の組み合わせから成る2つの意味を持たせた造語だ。加えて、「人々の暮らしに欠かすことができない石油化学産業で、カーボンニュートラルと循環型社会の構築をリードし、サステナブルな社会の実現に貢献する」という思いを込めている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- レゾナックの最注力は半導体の後工程材料、6G向け半導体の新材料も開発
レゾナック・ホールディングスは「レゾナック株式会社」を発足した。レゾナックでは、昭和電工と日立化成の技術を組み合わせて、世界トップクラスの機能性化学メーカーになることを目指している。 - レゾナックが「共創の舞台」に半導体材料の開発を加速するVR技術を導入
レゾナックは、異なる材料の界面における分子挙動の解析などを実現するために、ヘッドマウントディスプレイを用いたVR技術を開発した。 - レゾナックが低温/短時間で硬化するCFRP成形用樹脂を開発、曲げ強度に優れる
レゾナックは、「IPF Japan 2023」で、開発中の速硬化CFRP成形用樹脂「Show brid AM-100シリーズ」を披露した。 - レゾナックがシリコンバレーに研究開発拠点を開設、AI向け半導体の情報も収集
レゾナックは、東京都内で半導体戦略説明会を開き、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに半導体のパッケージングおよび材料の研究開発センターであるパッケージングソリューションセンターを開設することを発表した。 - レゾナックが海洋プラごみのリサイクル工程を披露、CO2フリー電力活用のホテルも紹介
レゾナックは、神奈川県川崎市の川崎港や川崎事業所、川崎キングスカイフロント東急REIホテルで海洋プラスチックごみリサイクルの実証実験取材会を開催した。