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レゾナックが海洋プラごみのリサイクル工程を披露、CO2フリー電力活用のホテルも紹介リサイクルニュース(1/2 ページ)

レゾナックは、神奈川県川崎市の川崎港や川崎事業所、川崎キングスカイフロント東急REIホテルで海洋プラスチックごみリサイクルの実証実験取材会を開催した。

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 レゾナックは2024年5月30日、神奈川県川崎市の川崎港や川崎事業所、川崎キングスカイフロント東急REIホテルで海洋プラスチックごみリサイクルの実証実験取材会を開催した。

 当日は川崎港で回収された海洋プラスチックごみを川崎事業所でリサイクルする工程の他、同事業所で使用済みプラスチックをリサイクルし製造した水素を電力に変換して活用する川崎キングスカイフロント東急REIホテルの取り組みを披露した。

当日に披露された、川崎港で海洋プラスチックごみを回収する様子(左)と回収した海洋プラスチックごみ(右)[クリックで拡大] 出所:レゾナック

海洋プラスチックごみリサイクルの実証実験の概要

 レゾナックは、川崎市とともに、川崎港の海面清掃で回収した海洋プラスチックごみを、水素およびアンモニアなどの化学品原料やCO2にリサイクルする実証実験を2024年4月から開始している。この取り組みは同社の川崎事業所の「プラスチックケミカルリサイクル事業」で行っている。プラスチックケミカルリサイクル事業は同社では川崎プラスチックリサイクル(KPR)事業と呼称されている。

 川崎市では、清掃船を使い川崎港内を巡回して流木やごみなどを回収し、集められたごみを陸揚げ/分別して処理している。今回の実証実験では、分別されたプラスチックをレゾナックが回収し、破砕/成形工程を経て、他の使用済みプラスチックと同様に、KPRプラントで、高温でガス化して分子レベルまで分解し水素とCO2にリサイクルする。

 海洋プラスチックごみの多くは、紫外線や風雨による損傷と汚れ、海水の影響による性状の不安定さから、リサイクルされずに焼却されていた。そこで、同社と川崎市は今回の実証実験で、レゾナック川崎事業所内にあるKPRプラントのケミカルリサイクル技術(ガス化)による海洋プラスチックごみの高度リサイクルの可能性を検証する。期間は2024年4月〜2025年3月で、川崎港の海面清掃により回収した海洋プラスチックごみについて、レゾナックがリサイクルおよび評価検証を行う。低温ガス化炉や高温ガス化炉、ガス洗浄設備、CO転化設備、脱硫設備から成る川崎事業所のプラントを同社ではKPRプラントと呼称している。

KPRプラント
KPRプラント[クリックで拡大]

川崎事業所におけるプラスチックごみのリサイクル工程

 川崎事業所のプラスチックケミカルリサイクル事業では、破砕成形工程、ガス化工程、精製工程、アンモニア製造工程の4工程によりプラスチックごみのリサイクルを行う。

 破砕成形工程では、回収された使用済みプラスチックをコンベヤーにより破砕機に投入し破砕した後、金属選別機を用いてこの使用済みプラスチックから異物を除去する。異物を除去した後、この使用済みプラスチックを成形機により成形プラスチックに加工する。


当日に川崎港で回収された海洋プラスチックごみを破砕機に投入する様子[クリックで拡大]

成型機で成形された成形プラスチック(右)[クリックで拡大]

 ガス化工程では低温ガス化炉と高温ガス化炉により成形プラスチックをガス化する。低温ガス化炉では、少量の酸素と蒸気をガス化剤として利用するとともに、熱せられた砂を循環する「流動床炉(圧力1Mpa、温度600℃)」を用いて、成形プラスチックを熱分解および部分酸化し分解ガスとする。また、金属選別機で回収しきれなかった細かな金属は未酸化状態のまま炉底から回収される。

 高温ガス化炉では、低温ガス化炉で生成したガスを、1400℃の温度下で少量の酸素と蒸気により熱分解および部分酸化し、水素と一酸化炭素(CO)を主体とする合成ガスに改質する。高温となった合成ガスは高温ガス化炉底部の冷却室の冷却水により瞬時に冷却され、この工程で生じる、冷却された灰は水砕スラグとなり炉底から回収される。

 なお、両ガス化炉は、最初に昇温する際にガスを使用するが、昇温後はプラスチック自身の分解熱を利用して温度を保つため化石燃料を使用しない。

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