レゾナックが低温/短時間で硬化するCFRP成形用樹脂を開発、曲げ強度に優れる:材料技術
レゾナックは、「IPF Japan 2023」で、開発中の速硬化CFRP成形用樹脂「Show brid AM-100シリーズ」を披露した。
レゾナックは、「IPF Japan 2023(国際プラスチックフェア)【第10回】」(2023年11月28日〜12月2日、幕張メッセ)で、開発中の速硬化CFRP(炭素繊維強化プラスチック)成形用樹脂「Show brid AM-100シリーズ」を披露した。
Show brid AM-100シリーズは、低温/短時間での硬化と低粘度に対応し迅速に成形できるプラスチックで、生産性の向上に貢献する他、炭素繊維との良好な接着性により高いCFRP強度特性を発現する。
同シリーズの樹脂グレードは、低粘度の「AM-100L」、中粘度の「AM-100M」、高粘度の「AM-100H」の3種類だ。AM-100は粘度が100〜200mPa・s/25℃で樹脂注入(RTM)成形に対応している。AM-100Mは250〜350mPa・s/25℃でハンドレイアップ(HLU)成形と引き抜き(PL)成形に応じる。AM-100Hは500〜600mPa・s/25℃でプリフォームマッチドダイ(MMD)成形とフィラメントワインディング(FW)成形に対応する。
CFRP特性に関して一例を挙げると、常温硬化(後硬化120℃/2時間)の条件でAM-100Mは、繊維体積含有率が56%、圧縮強度が602MPa、曲げ強度が881MPa、曲げ弾性率が53GPaとなっている。
レゾナックの説明員は「Show brid AM-100シリーズは低温/短時間で硬化する点が強みだ。加えて、汎用ビニールエステル樹脂やエポキシ樹脂(アミン硬化系)と比べ炭素繊維と組み合わせた際の曲げ強度に優れるため、自動車の部材で活用できると見込んでいる。既に量産できる体制は整っており、現在は用途や成形方法に合わせてグレードおよび硬化方法を顧客に提案している。なお、販売後はフィルムで提供する予定だ」と語った。
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