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軽く小さいこともCO2排出削減、スズキの環境技術は軽量化がカギ電動化(2/2 ページ)

スズキは10年後に向けた技術戦略を発表した。

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軽量化と電動化

 クルマが軽いことで、エンジン車の燃費が良好になるだけでなく、電動化に必要な電池やモーターも小さくできる。EV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)は、国や地域の再生可能エネルギーの普及やクルマの使用状況に合わせて適材適所で展開する。

 新車での電動車の普及見通しについて、日本市場は2035年にHEVが7割、EVが3割と見込む。インドでは、バイオ燃料の積極導入により、同年の比率はカーボンニュートラル燃料によるエンジン車とHEV、EVが均等になると予測する。欧州は2035年に新車がEV100%となる想定だ。背景には電源構成の違いもある。日本やインドでの非化石燃料による電力の比率は、欧州よりも低めであると見込んでいる。ライフサイクル全体でのエネルギー消費は、非化石燃料による電力の比率が低い場合はHEVが、比率が高まればEVが有利になる。


電源構成によってライフサイクルでのCO2排出量は異なる[クリックで拡大] 出所:スズキ

 軽量なプラットフォームをベースに、電動ユニットや電池も小型軽量で効率がよいことを追求し、レアアースやレアメタルなどの資源の使用量削減にもつなげる。生活に合った合理的な走行距離を確保できる必要最小限の電池容量にとどめ、大容量バッテリーは搭載しない考えだ。EVは2025年以降、順次市場投入する。

 軽自動車向けの電源電圧12Vのマイルドハイブリッドシステム(モーター出力2kW)をベースに、モーター出力を向上させながらバッテリーは最小限にした電源電圧48Vのマイルドハイブリッドシステム「スーパーエネチャージ」も開発する。モーターは出力10kW程度でも出力の3割程度をカバーできると見込む。

 エンジンに関しては、2023年に最大熱効率40%を達成した「Z12E型」の技術を軽自動車から小型車まで広く展開しながら、バイオ燃料などカーボンニュートラル燃料への対応や高速燃焼、次世代ハイブリッドシステムの効率化などにつなげる。スーパーエネチャージ向けのエンジンにも高効率エンジンの知見を生かす。

 二輪車では「鈴鹿8時間耐久ロードレース」で、カーボンニュートラルを使用して参戦する。

スズキらしいSDVとADAS

 SDV(ソフトウェアデファインドビークル)に関しては、有線と無線のソフトウェア更新のベストミックスにより使いやすさを追求する。多機能/高機能化を進めても機能に気付かれなかったり使われなかったりすることも想定し、“ちょうどいい”機能としていく考えだ。ハードウェアの共有で部品のコストを、ソフトウェアの再利用で開発費をそれぞれ抑制し、「これでいい、これがいい」とユーザーが感じるSDVを目指す。

 ADAS(先進運転支援システム)は、スズキにとって重要な市場であるインドに特有の渋滞や運転事情を考慮し、インドの街中でも活用できる機能の開発に取り組む。

 サーキュラーエコノミーの実現に向けては、リサイクルや再利用を前提に分解しやすい製品設計を行い、資源の総使用量を抑制する。電池のリユースもさらに拡大していく。また、インドで解体後の資源を回収するシステムの構築を進める。

 スズキ 社長の鈴木俊宏氏は「小・少・軽・短・美なクルマは、動かすために必要なエネルギーが小さく、電池や燃料も少なくすることができる。電池が小さければ充電に必要なエネルギーも小さい。モーターやエンジンが小さければ使用する材料や製造のエネルギーも少ない。衝突エネルギーやリサイクルの負担、コスト、資源リスクも小さくできる。道路やその下に埋設された水道管やガス管などインフラへのダメージも小さい。軽いということは、さまざまな良いことにつながる」と説明した。

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