日系乗用車メーカーの生産台数ランキングに大きな変動、3位がスズキ:自動車メーカー生産動向(1/3 ページ)
日系自動車メーカーの生産が回復を見せる中、ダイハツ工業の認証不正によりランキングに大きな変動が起きている。乗用車メーカー8社の2024年1月の世界生産台数は、マツダとダイハツを除く6社が前年実績を上回り、8社合計では12カ月連続で増加した。
日系自動車メーカーの生産が回復を見せる中、ダイハツ工業の認証不正によりランキングに大きな変動が起きている。乗用車メーカー8社の2024年1月の世界生産台数は、マツダとダイハツを除く6社が前年実績を上回り、8社合計では12カ月連続で増加した。自動車に対する底堅い需要と、半導体の供給改善が着実に進んでいる様子が伺える。
国内 | 海外 | (うち北米) | (うち中国) | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
トヨタ | 217,481 | 522,851 | 172,935 | 111,830 | 740,332 |
2.8 | 9.5 | 22.0 | 15.4 | 7.4 | |
ホンダ | 56,469 | 280,650 | 135,474 | 85,949 | 337,119 |
19.7 | 20.2 | 27.0 | 19.7 | 20.1 | |
スズキ | 78,438 | 224,695 | - | - | 303,133 |
▲ 4.5 | 5.4 | - | - | 2.6 | |
日産 | 54,546 | 219,916 | 97,290 | 72,809 | 274,462 |
22.8 | 22.3 | 6.6 | 126.8 | 22.4 | |
三菱自 | 43,286 | 47,742 | - | 0 | 91,028 |
11.9 | 3.3 | - | - | 7.2 | |
マツダ | 53,665 | 37,345 | 25,994 | 8,709 | 91,010 |
▲ 18.1 | 14.3 | 44.9 | 46.5 | ▲ 7.3 | |
スバル | 45,027 | 30,686 | 30,686 | - | 75,713 |
47.7 | 55.2 | 55.2 | - | 50.7 | |
ダイハツ | 0 | 70,708 | - | - | 70,708 |
- | ▲ 5.6 | - | - | ▲ 49.8 | |
合計 | 548,912 | 1,434,593 | 462,379 | 279,297 | 1,983,505 |
▲ 6.3 | 12.3 | 20.8 | 36.2 | 6.4 | |
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、% ※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計 |
低迷が続いていた中国生産は依然として厳しいものの、前年の「ゼロコロナ政策」や急激な電気自動車(EV)シフトの反動などもあり回復。さらに市場が好調な北米が生産増加を後押しする格好となった。8社合計の世界生産は、前年同月比6.4%増の198万3505台だった。ダイハツの認証不正に加えて、各社の増減幅のバラつきが大きかったこともあり、順位の変動が目立った。3位にスズキが入り、5位には三菱自動車がランクイン。ダイハツは国内生産の0台が響き、最下位となった。
国内生産は、前年同月比6.3%減の54万8912台と、13カ月ぶりにマイナスへ転じた。主な要因は全車種の生産を停止したダイハツの認証不正だが、スズキとマツダも前年割れとなった。全体的には半導体不足の解消と、中国のゼロコロナ政策の反動による部品供給改善で回復基調が続いているといえる。また、2024年1月1日には石川県を震源とする能登半島地震が発生し、部品メーカーの一部が被災したが、地震による国内生産への影響については1月時点では大きく出ていない様子だ。
国内生産が減少した一方で、海外生産の好調は続いている。8社合計は前年同月比12.3%増の143万4593台と4カ月連続のプラス。ダイハツを除く7社が前年実績を上回った。半導体の供給改善で好調な北米が13カ月連続で増加した他、2023年が低迷した中国が3カ月連続で前年実績を超えた。
トヨタ自動車
メーカー別に見ると、トヨタ自動車の1月のグローバル生産台数は、前年同月比7.4%増の74万332台と13カ月連続で前年実績を上回った。海外生産が好調で、同9.5%増の52万2851台と4カ月連続で前年実績を上回り、1月として過去最高を記録した。
地域別で見ると、好調をけん引したのが主要市場の北米で、前年同月比22.0%増と10カ月連続のプラス。旺盛な需要に加えて半導体の供給改善効果が続いている。中国は、依然としてEVシフトを含めた販売競争の激化は続いているものの、半導体供給の回復や春節に伴う稼働日数の影響により同15.4%増と3カ月連続で増加した。
中国以外のアジアは、主力拠点のタイが経済低迷や輸出先の経済動向などにより前年同月比14.9%減と低迷している。一方でインドが同57.2%増、台湾が同71.3%増、インドネシアが同9.3%増、フィリピンが同16.1%増、マレーシアが同15.9%増とアジア全体としては堅調に推移し、中国のプラスもありアジアトータルでは同11.7%増と3カ月連続で増加した。欧州はトルコでの新型車生産の準備やフランスの降雪の影響などで同6.0%減と2カ月連続のマイナスとなった。
国内生産は、前年同月比2.8%増の21万7481台と13カ月連続のプラス。新型車を中心に国内市場で受注が好調な他、部品供給が回復していることが要因だ。それでも、新型車や人気車種を中心に受注停止や納期の長期化は依然として続いており、国内市場におけるトヨタ車の人気の高さが伺える。また、輸出も好調で同55.8%増と9カ月連続のプラスだった。
好調なトヨタにも懸念材料がある。2024年1月29日に豊田自動織機で自動車用ディーゼルエンジンの認証試験不正が発覚。不正に該当する「GDエンジン」を搭載する「ハイエース」「ランドクルーザー」「ハイラックス」などの出荷/生産を停止した他、同じラインで生産する「アルファード」などの生産も停止した。2024年3月4日から生産再開したものの、2月分の生産に一定の影響が出ることが予想される。また、能登半島地震の影響も2月以降に表れるとみられる。
さらに国内販売では、ダイハツの認証不正の影響が広がっている。2024年1月のトヨタの国内販売は前年同月比13.7%減と13カ月ぶりに前年割れとなり、2月は同34.0%減と大幅減を記録した。これは国内販売の主力モデルでダイハツが生産する小型車の「トール」や「ライズ」の販売減が響いた格好だ。改めてトヨタグループにおけるダイハツの役割の大きさを示す結果となった。
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