新車生産は3カ月ぶり増加も明暗分かれる、認証不正や品質問題が背景:自動車メーカー生産動向(3/3 ページ)
乗用車メーカー8社の2024年4月の世界生産台数は、8社合計が3カ月ぶりに増加したが、各社で明暗が分かれた格好だ。国内生産では、能登半島地震による部品供給の影響に加えて、ダイハツ工業の認証不正、トヨタ自動車の品質問題、SUBARUの工場事故などが減産要因となった。
日産自動車
スズキに次ぐ4位となった日産自動車の4月のグローバル生産は、前年同月比10.1%増の26万4308台と3カ月ぶりのプラス。このうち海外生産は同16.8%増の20万9830台と3カ月ぶりに前年実績を上回った。米国は同7.7%増と2カ月ぶりにプラスを確保。メキシコは同51.9%増と高い伸びを示し、2カ月ぶりに増加した。中国も同9.2%増と3カ月ぶりのプラスだった。英国も同10.0%増と2カ月ぶりに増加するなど、全ての地域で前年実績を上回った。
一方、長らく好調が続いていた国内生産はブレーキがかかっている。前年同月比9.8%減の5万4478台と2カ月連続のマイナス。「セレナ」や「エクストレイル」といった国内市場での主力モデルが伸び悩んだ他、物流など供給面の課題が影響を及ぼした。これに伴い、輸出も同9.3%減と減少している。
マツダ
マツダの4月のグローバル生産台数は、前年同月比0.8%減の10万2399台と4カ月連続で減少した。主力の国内生産が同13.2%減の6万3136台と4カ月連続のマイナスだったことが響いた。前年4月が半導体の供給制限が緩和されたことで、一時的に生産台数が増えていたことが要因。加えて、「CX-8」や「CX-9」などSUVモデルの生産を終了したことも響いた。車種別では主力の「CX-5」が同34.8%減、「マツダ3」が同24.2%減と低迷した。一方、北米向けの「CX-90」は同42.0%増と伸長。輸出も同0.5%増とプラスを確保した。
国内が低迷する一方で海外生産は好調だ。前年同月比29.0%増の3万9263台と2カ月ぶりに前年実績を上回った。8社で最も高い伸びだ。けん引役は北米で、2023年7月末から2直化した米国が同176.7%増と大きな伸びを見せた他、メキシコも同17.8%増とプラスを確保。一方、中国は、2023年4月に一汽乗用車への生産委託を終了したことなどが響き、同14.2%減と2カ月ぶりに前年実績を下回った。タイも同0.2%減と微減だった。
なお、マツダも2024年6月3日、型式指定申請の手続きで不正行為があったと発表した。対象は現行生産モデルの2車種、過去に生産した3車種の計5車種。現行モデルは「ロードスターRF」「マツダ2」で、エンジン制御ソフトを不正に書き換えていた。マツダは、エンジン制御については安全性に影響はないとしているが、6日以降生産を停止。出荷生産の再開のめどは立っていない。
スバル
スバルの4月のグローバル生産台数は、前年同月比6.4%減の7万4699台と3カ月連続のマイナスとなった。ただ、8社の順位では、ダイハツ、三菱自を押さえて6位だった。中でも国内生産は同20.1%減の4万1852台と大幅減となり、3カ月連続で前年実績を下回った。北米向け「フォレスター」が新型車への切り替えで大幅に台数を減らしたことが大きい。これに伴い輸出も同26.8%減と2カ月連続で減少した。
一方、海外生産は好調を維持している。唯一の海外拠点である米国生産は、前年同月比19.6%増の3万2847台と2カ月ぶりの増加。米国での「クロストレック」の生産開始が効いた。
三菱自動車
8社で最下位となったのが三菱自だ。4月のグローバル生産台数は、前年同月比0.3%増の6万4668台と微増で、3カ月ぶりのプラスだった。このうち海外生産は、同0.3%増の3万573台と3カ月ぶりの増加。主要地域の東南アジアは、最大拠点を構えるタイが同4.8%減、インドネシアが同7.2%減と伸び悩んだ。
国内生産は、前年同月比0.4%増の3万4095台と2カ月ぶりのプラス。新型車「デリカミニ」が高い人気を集めており、国内生産全体を押し上げている。加えて輸出も好調で、同16.1%増と4カ月ぶりにプラスへ転じた。
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