ダイハツの再発防止策は「開発期間1.4倍」「試験や評価で増員」:製造マネジメントニュース
ダイハツ工業は認証不正問題の再発防止策をまとめた報告書を国土交通省に提出した。
ダイハツ工業は2024年2月9日、認証不正問題の再発防止策をまとめた報告書を国土交通省に提出したと発表した。
再発防止策の着実な実行と継続に向けて、若手リーダーや、弁護士などの外部の専門家を含むメンバーで構成される社長直轄の『「三つの誓い」改革推進部(仮称)』が再発防止策の立案や実行を支援するとともに、その進捗の監査を行う。新設する部の部長は品質統括本部長が務める。実施状況の進捗は四半期ごとに国土交通省に報告するとしている。
認証不正を繰り返さないための3つの「誓い」を定め、再発防止策だけでなく、不正の背景となった企業風土や経営に対する抜本的な施策をまとめた。
3つの誓いとは、「風土改革:法令・ルールを順守し、みんながつながり一緒に笑顔で成長する」「経営改革:人を中心に据えた正しい経営をする」「モノづくり・コトづくり改革:お客さまに寄り添い社会に信頼される『モノづくり・コトづくり』を行う」ことを指す。これらの実践により、ユーザーに寄り添い暮らしを豊かにする、人を中心に据えた会社として再生することを目指す。
経営の改革に向けては、弁護士など外部の専門家による経営者教育の適切な実施、「再出発の日」(12月20日)の設定、不正の事実を展示する学習館の開設などを実施する。トヨタとダイハツのトップ同士の継続的な本音のコミュニケーションや、人材交流による相互理解の促進にも取り組む。
風土の改革では、部門間ローテーションの活発化など人と部署が相互につながるよう促進する他、目指す人材像や人事評価要素を見直す。エンゲージメントサーベイや360度診断など定期的な観測も行う。
モノづくり/コトづくりに関しては、新車開発全体の業務管理手法改善のため、開発日程を従来の標準日程から1.4倍に拡大する他、開発と認証の日程を分離し、開発完了後に認証プロセスに移行するステップを踏むことで開発の遅れを後工程で吸収しないようにする。
また、認証試験に必要なスキルの習熟度をテストなどで把握できるようにして可視化し、必要なスキルを持つメンバーが試験を担当できるようにする。さらに、法規や認証に関連した業務で十分なリソースを確保するため、2024年6月をめどに試験グループの人員を2023年1月比7倍に増やす。また、安全性能を評価する人員は同1.5倍に増員した。
徐々に生産再開へ
小型商用車であるトヨタ自動車向け「プロボックス」とマツダ向け「ファミリア バン」を生産するダイハツの京都(大山崎)工場(京都府大山崎町)では、2024年2月12日から生産を再開した。
また、「ミライース」など軽自動車10車種を生産するダイハツ九州の大分(中津)工場(大分県中津市)も、同月26日から生産を再開する予定だ(出荷は同月19日から再開)。
トヨタ自動車は「今回の不正に関し、ユーザーをはじめ多くのご関係の方々から厳しい意見とともに励ましや商品を待ち望む声をいただくようになってきた。こうした状況を受けて生産再開を判断した」とコメントを発表している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 無理解な経営陣の「短期開発」が生んだ、ダイハツ64車種の不正
ダイハツ工業は同社が開発し、国内外で生産中の全ての車種の出荷を自主的に停止すると発表した。生産を終了したものを含め、64車種とエンジン3機種で型式認証の試験での不正行為が確認されたためだ。 - トヨタは2023年度の業績予想を上方修正、ダイハツなどの不正も織り込み済み
トヨタ自動車は2024年3月期第3四半期の決算を発表した。営業収益は前年同期比23.9%増の34兆227億円、営業利益は同102.1%増の4兆2402億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が同107.9%増の3兆9472億円だった。 - ダイハツの型式不正、追加でミライースなど10車種の出荷停止解除
ダイハツ工業は国土交通省で10車種が道路運送車両法の基準適合性を確認されたと発表した。これにより、該当車種の出荷停止が解除される。 - ドアロックでダイハツ「キャスト」がリコール、トヨタ向け含め32万台
ダイハツ工業は国土交通省にリコールを届け出た。対象車種は軽自動車「キャスト」とトヨタ自動車にOEM供給する「ピクシスジョイ」で、台数は合計32万2740台に上る。 - ダイハツの認証不正、特に悪質な3車種が型式指定取り消しへ
国土交通省はダイハツ工業に対する立ち入り検査の結果を発表するとともに、不正行為が悪質な3車種の型式指定を取り消す手続きを開始したと発表した。 - トヨタがダイハツを100%子会社化、小型車開発をダイハツに集約へ
トヨタ自動車とダイハツ工業は、トヨタ自動車がダイハツ工業を完全子会社化することで合意した。ダイハツ工業は2016年7月27日に上場を廃止し、2016年8月1日からトヨタ自動車の完全子会社となる。ダイハツ工業はトヨタグループの小型車の商品開発や新興国市場向けの開発/調達/生産を主導する。