JALらが使用済み飲料用紙コップをリサイクルした「再生紙コップ」の提供をスタート:リサイクルニュース
JAL、日本製紙、東罐興業は、飛行機内で分別回収した使用済み飲料用紙コップをリサイクルした「再生紙コップ」の提供を2024年6月から羽田発JAL国内線運航便でスタートする。
日本航空(JAL)、日本製紙、東洋製罐グループホールディングスの連結子会社である東罐興業は2024年5月30日、飛行機内で分別回収した使用済み飲料用紙コップを新たな紙コップに再生する「紙コップto紙コップ」の水平リサイクルを実現したと発表した。
使用済みの紙コップを回収して再資源化し、新たな紙コップに再生させる資源循環は国内初の取り組みだ(2024年5月7日時点、3社調べ)。この取り組みにより新たに再生された紙コップ(以下、再生紙コップ)は、環境月間である2024年6月から羽田発JAL国内線運航便で提供する。
今回の取り組みの概要
再生紙コップの提供期間は2024年6月1日から10日間程度で在庫がなくなり次第終了。航路上の天候などの状況により、提供ができない場合もある。対象路線は東京(羽田発)JAL国内線運航便。再生紙コップは、古紙パルプの配合率が25%(古紙パルプの一部に機内で使用された紙コップを含む)で、再生紙特有の黒点が紙に混ざる場合があるが品質には問題ない。
再生紙コップ開発の背景
JALグループでは、日本製紙グループと共同で、2022年12月から機内サービスで使用した紙コップの分別回収とリサイクルを実施してきた。紙コップの回収対象路線は、東京(羽田)〜沖縄(那覇)線からスタートし、現在は東京(羽田)〜札幌(新千歳)、旭川、福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄(那覇)線に拡大している(エアバスA350-900型機、ボーイング767-300ER型機運航便が対象)。
回収された紙コップはこれまで段ボールなどの紙製品に再生されていた。この取り組みを行う中で、乗客に協力してもらいJAL機内での紙コップ分別回収の精度が向上した他、日本製紙富士工場(静岡県富士市)で食品/飲料用紙容器専用リサイクル設備を新設した。加えて、東罐興業の製造技術が進歩したことで、紙コップ水平リサイクルスキームが確立し、紙コップto紙コップの水平リサイクルを実現した。
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