機能拡張が進む「GitHub Copilot」、若手開発者へのレガシー言語の橋渡し役も:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
GitHub Japanは、AIペアプログラミング機能「GitHub Copilot」の開発進捗や米国本社における生成AIの活用状況、法規制への対応方針などについて説明した。
生成AIの規制は「モデル」「システム」「社会的レジリエンス」に焦点
マッキンリー氏は、GitHubの法務担当を務めるとともに弁護士でもある背景から、米国と欧州、そして日本でも策定が進む生成AIの規制について説明した。
生成AIの規制では「モデル」「システム」「社会的レジリエンス」の3つに焦点が当てられている。「モデル」と関わってくるのが、2023年5月のG7広島サミットで提唱された「広島AIプロセス」や、生成AIをさらに超えた次世代AIに位置付けられる「フロンティアモデル」である。そして「システム」と関わるのは、足元で策定が進むEUのAI規制法案である。広島AIプロセスやフロンティアモデルでは、先進的な開発上流でのリスクを理解しつつ、それらのAIモデルの利用についてAIライフサイクル全体の関係者それぞれが異なる責任を持つという認識が前提になっている。
そして、EUのAI規制では、これらのAIモデルを活用して構築されるAIシステムが規制対象になっている。GitHub Copilotは、まさにこのAIシステムの代表ともいえるが、安全性や透明性を担保するのはAIシステムを提供する企業の責任になっている。「1億人の開発者が参加する世界最大のオープンソースコミュニティーであるGitHubとしてもEUのAI規制の策定に貢献しており、AIシステムに関わるオープンソースコンポーネント提供者に責任が及ばないような保護の項目を追加するなどの成果が得られている」(マッキンリー氏)。また、「社会的レジリエンス」では、現場担当者などがAI技術を享受するために何を成すべきかであり、2023年1月に発出されたAI技術の安全/安心を確保するための米国大統領令が関わってくる。
マッキンリー氏は「私見ではあるが、広島AIプロセスを非常に高く評価している。EUのAI規制とも整合性が高い。グローバルで整合性を持ったAI規制が整備されることで、AIに関するエコシステムに多くの人々が参加できるようになるだろう。これらのAI政策がきちんとしなければAIによって生まれる可能性は小さくなってしまうだろう」と述べている。
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