超大型加工機9台が3台に、DMG森精機が新設の第3精密加工工場が見せた工程集約:スマート工場最前線(2/2 ページ)
DMG森精機は伊賀事業所(三重県伊賀市)において新たに稼働した第3精密加工工場を報道陣に公開した。
9台を3台に集約、リードタイムは20%以上短縮も
他社製の大型5面加工機5台と大型研削盤4台の合計9台を、3台のDMU 1000 SEに置き換えることで、工程間のワーク搬送や段取替えの時間、加工時間の短縮を図る。従来は粗加工や仕上げ加工に20時間かかっていたリードタイムが、工程集約によって7時間まで短くなったケースもあるという。
DMG森精機 常務執行役員でDMG森精機製造 取締役社長 兼 DMG森精機プレシジョンコンポーネンツ 取締役社長 兼 生産技術(加工)担当の森口一豊氏は「加工していない時間が短縮されている。ATC(自動工具交換装置)の作業時間や主軸自体の交換時間、送り速度も早くなっている。それぞれは1分程度の短縮だったとしても、加工中にそれらの作業を数十回と繰り返せば、それだけで1時間以上の短縮になる」と話す。
設置時には地面を2m掘り、基礎工事を行った。「本当なら従来の機械が置かれていた場所に置き換えられればいいが、大掛かりな工事となるため、工事の振動が伝わって他の製品に影響を与えてしまう。そのため新しい建屋を作った」(森口氏)。9台が3台になることでスペースを削減できるだけでなく、オペレーターの人数、空調や電気代も削減できる。空いたスペースは、工作機械の組み立てなどに利用することを検討しているという。
ボールねじの工程集約ではロボット付きAMRがワークを出し入れ
DMG森精機では自社製工作機械に使うボールねじの工程集約も図っている。
従来の分割されていた工程では5種類の機械を使い、各工程が終わる度にオペレーターがワークを取り出し、測定しなければならなかったが、研削とタッチプローブによる計測機能を追加した特殊仕様の複合加工機を活用することで1工程に集約した。これによってリードタイムを24%削減することに成功した。ストッカーへの投入、取り出し、加工機への脱着などのワークハンドリングは、協働ロボットを搭載した同社の自律走行ロボット「WH-AMR 10」が担っている。
「NTX 2000/1500」がベースとなった加工機が3台、「NTX2500/1500」がベースとなった機械が2台あり、NTX 2000/1500が角ナットとフランジナットの荒/仕上げ加工を、NTX2500/1500がねじ部分の荒/仕上げ加工を行う。ロボット側ではワークに合わせて自動でハンドを交換する。
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