工作機械の間をAMRが行き交う無人ライン、シチズンが見せた未来のモノづくり:工作機械(1/2 ページ)
シチズンマシナリーはプライベートイベント「CFA2023」を軽井沢本社で開催し、新しい精密加工工場や2024年発売予定の新機種などを公開した。
シチズンマシナリーは2023年11月15〜17日までプライベートイベント「CFA2023」を軽井沢本社(長野県御代田町)で開催した。
CFA(Citizen Machinery Future Aspect、シーファ)は、シチズンマシナリーが目指す10年ビジョンを提示する場として5〜10年おきに行われているイベントだ。1990年に第1回が開かれ、コロナ禍の中断を挟んで今回で5回目となる。
CFA2023のテーマは「MOVE YOUR HEART, MOVE THE FUTURE〜確かさに感動を〜」となっており、シチズンマシナリーが提供してきたモノづくり、製品、サービスの確かさが、感動や未来を作り、またモノづくりに新たな感動と未来をもたらすという思いが込められている。
具体的にはユーザーとシチズンマシナリー、それぞれの未来のモノづくりという2つの観点でビジョンを提示している。
ユーザーの未来のモノづくりでは、今後10年の自動化、省力化、デジタル化の進展を見据えて、工作機械本体を中心にLFV(低周波振動切削)などの独自技術やロボットシステム「FAフレンドリー」の進化、インターネットを活用した「alkapplysolution(アルカプリソリューション)」の発展とハードウェアとの融合を通じた自動化でモノづくりのワークフローの革新を提案。
シチズンマシナリーの未来のモノづくりでは、さまざまな種類を自在に作る「適種」、求められる量を高い効率で作る「適量」、必要とされるときに的確に作り供給する「適時」、需要に応じて最適な場で作る適地を最適なコストで実現し、人が生きる未来のスマート工場というコンセプトを提示した。
その中で公開されたのが、2023年に完成した新しい精密加工工場だ。工作機械に使われるスピンドルやボールねじの軸、ナット、ハウジングなどの加工を行っており、その中にAMRを活用した全自動のラインを設けている。
使われているのはDMG森精機のAMR「WH-AMR10」だ。WH-AMR10は、AMRの上にワークハンドリング利用の協働ロボットが搭載されており、自律的に走行して作業を行うことが可能だ。停止位置の誤差は3次元のビジョンセンサーで認識してロボットの動きを補正できる。
工場内では5台の旋盤のラインを2台のWH-AMR10が行き交いながら、ワークの取り出し、加工治具の取り付けなどを行い、センター研磨から内径仕上げまで7つの加工を行う。その間、作業者は最初の材料の据え付けと完成品の取り出しを行うだけだ。大きな効果はリードタイムの削減だ。
従来のラインでは、各工程でロット生産を行うため大量生産には向いている半面、完成まで最低でも作業工数分の日程が必要になっていた。AMRのラインでは1本当たりの加工ができ、必要な数を必要な時に生産できるようになった。
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